フォルトゥナ(その他表記)Fortuna

翻訳|Fortuna

改訂新版 世界大百科事典 「フォルトゥナ」の意味・わかりやすい解説

フォルトゥナ
Fortuna

古代ローマの運命女神ギリシアテュケTychēと同一視された。本来豊穣多産の女神であったが,しだいに〈幸運〉から〈運命〉の女神へと発展したもので,その名はラテン語のfero(〈もたらす〉の意)と同語源とされる。崇拝の中心地としてはラティウム地方のプラエネステが名高く,彼女はここにイタリア最大の神域を所有していた。美術作品では,コルヌコピア(豊穣の角)や舵を手にした姿で表現されることが多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フォルトゥナ」の意味・わかりやすい解説

フォルトゥナ
Fortuna

古代ローマの運命の女神。別名をフォルスともいう。ギリシアのテュケと同一視され,目隠しをし,手に豊穣の角と運命をあやつる舵を持った姿で表わされた。元来は,大地の実りをもたらす豊穣女神であったのではないかとみられている。特に6代目の王セルウィウス・ツリウスがこの女神を厚く崇敬し,その愛人であったともいわれる。

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百科事典マイペディア 「フォルトゥナ」の意味・わかりやすい解説

フォルトゥナ

古代ローマの運命の女神。ギリシアのテュケに当たる。本来は豊穣多産の女神。コルヌコピア(豊穣の角)や舵やガラスの壺をもち,球に乗るなどの寓意像で表される。

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世界大百科事典(旧版)内のフォルトゥナの言及

【プラエネステ】より

…前90年にローマの自治市(ムニキピウム)となったが,マリウスに味方したためスラはこの町を略奪し,低い地位に落として退役兵を植民した。別荘地,神託の場所として有名であり,皇帝や有力者たちがイタリア最大のフォルトゥナ女神の神殿で神託を受けた。【市川 雅俊】。…

【盲人】より

…その典型が愛の神エロス(クピド=キューピッド)で,目隠しをつけたその姿は,世俗の愛の盲目的な力を表している。運命の女神フォルトゥナや復讐の女神ネメシスが目隠しをしている姿は,気紛れや偶然の象徴である。盲人のモティーフはキリスト教でも多用されている。…

【ローマ】より

… 拡大に伴ってローマは自らの支配をイデオロギー的に強化すべく新たな守護神に頼ることになった。その代表がローマ女神であり,ほかに幸運の神格化フォルトゥナ,勝利の女神ウィクトリアが重視され,被支配民族の多くもこれを受容した。元首政を創始したアウグストゥスは共和政末期に衰退・退廃した一般の宗教・道徳を改善しようと神殿の再建や国家祭儀の復興に努め,ウェルギリウス,オウィディウスらの詩人も呼応して建国伝説や神々の体系をうたった。…

※「フォルトゥナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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