ブラジキニン

デジタル大辞泉 「ブラジキニン」の意味・読み・例文・類語

ブラジキニン(bradykinin)

血圧調節および炎症発現に関与するペプチド血清たんぱくの一部が、組織が障害された結果遊出してくる酵素カリクレイン)によって分解されて生じる。血管拡張毛細血管透過性亢進こうしんによる浮腫ふしゅなどを起こすが、強力な発痛物質としても知られている。

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化学辞典 第2版 「ブラジキニン」の解説

ブラジキニン
ブラジキニン
bradykinin

カリジンⅠともいう.プラズマキニンの一種.プラズマキニンとは,血清中のα-グロブリンの一種であるキニノーゲンからプラスミントリプシン,組織のカテプシン型プロテアーゼなどによって生成し,生理活性を有するペプチド総称である.プラジキニンはそのなかの一つで,9個のアミノ酸からなるペプチドで

H-Arg-Pro-Pro-Gly-Phe-Ser-Pro-Phe-Arg-OH

の構造をもつ.C50H73N15O11(1060.22).無定形粉末.分解点170 ℃.-84.1°(水).平滑筋の刺激,末梢血管拡張作用と血圧降下作用,毛細血管の透過性亢進および白血球集結作用などの生理作用を有する.ほかに,リシルブラジキニン(カリジンⅡ),メチオニルリシルブラジキニンなど同様の作用を示すペプチドがある.[CAS 58-82-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「ブラジキニン」の解説

ブラジキニン

 C50H73N15O11 (mw1060.22).RPPGFSP FRRPPGFSPFR.

 血漿中の生理活性ペプチドで,キニンの一つ.血管拡張,血圧降下作用,血管透過性促進などの作用がある.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のブラジキニンの言及

【痛み】より

…極端な熱(45℃以上),寒冷(15℃以下),過度の機械的刺激,刺激性のある化学物質などである。炎症のときにみられる表面痛は,局所に産生されるブラジキニンbradykinin,セロトニンなどの発痛物質によるもので,これらの発痛物質による痛みに関与する末梢神経繊維は,ポリモダル侵害受容繊維とよばれるC繊維である。炎症があると,これらの発痛物質のほか,プロスタグランジンE2とプロスタグランジンI2も局所に産生される。…

【唾液】より

…副交感神経刺激によって多量の唾液が分泌され,同時に唾液腺の血管は拡張し血流量が増加する。この血管拡張は局所で遊離されたブラジキニンbradykininというポリペプチドの作用による。味覚刺激が加わると反射的に唾液分泌がおこる。…

※「ブラジキニン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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