プラード(英語表記)Pérez Prado

改訂新版 世界大百科事典 「プラード」の意味・わかりやすい解説

プラード
Pérez Prado
生没年:1922?-89

マンボ王様〉の異名をもつキューバ出身のピアニスト,バンド・リーダー。生年は1917年とする説もある。キューバ北部のマタンサス市に生まれ,クラブなどでピアニストとして働いた後,47年にメキシコに渡って楽団を結成した。49年以降《エル・マンボQue Rico el Mambo》《マンボ第5番Mambo No.5》などのレコードを録音して,アメリカや日本にマンボ・ブームを巻き起こした。その音楽は,細かく刻むアップ・テンポのリズムに,厚いサウンドながら歯切れのいい金管・木管群をのせたところに特徴があり,管楽器のサウンドにはモダン・ジャズのスタン・ケントン楽団の影響が色濃く見られる。そのサウンドはしだいに甘く軽いものに変化していったが,55年の《セレソ・ローサCerezo Rosa》,58年の《パトリシアPatricia》のような中期の作品のほうが,アメリカでは大きな売上げを記録した。日本では1954-55年に脚にぴったりとして裾がきわめて細いマンボズボンが流行するなど,間接的にもせよ戦後風俗に及ぼした影響は大きい。
マンボ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プラード」の意味・わかりやすい解説

プラード
ぷらーど
Pérez Prado
(1922―1989)

キューバ出身のバンドリーダー、ピアニスト、作曲家。マタンサスに生まれたが、生年については1917年説もある。ハバナの楽団でピアノ奏者を務めたあと、独立して自分の楽団を創立。1940年代の末から、従来キューバで盛んな音楽形式ソンのバリエーションであるマンボmanboを盛んに手がけ、「マンボ王」として世界的にもてはやされた。その演奏は、サックス群のスタッカートを際だたせた現代的な編曲と、指揮をするプラード自身の独特な掛け声特色がある。代表的レパートリーに『エル・マンボ』『マンボ第五番』『闘牛士マンボ』など。56年(昭和31)初来日。

[田井竜一]

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世界大百科事典(旧版)内のプラードの言及

【マンボ】より

…【中村 とうよう】。。…

【マンボ】より

…本来は,キューバの民衆的な舞曲ソン・モントゥーノson montunoやダンソンdanzónの反覆部に挿入される倍テンポの部分(2小節単位を4回繰り返すのが普通)をいい,1940年ころアンセルモ・サカサス,フリオ・グティエレス,カチャーオら,もしくはアルセニオ・ロドリゲスが考案したとされている。そのスピード感のあるリズムに,歯切れのいいサックスやトランペットのアンサンブルを組み合わせて新しい音楽を創始したのが,キューバ生れのピアニスト,ペレス・プラードPerez Pradoで,49年ころから《エル・マンボQue Rico El Mambo》《マンボNo.5》などのレコードをメキシコで録音し,そのダンス・ステップとともに世界的なセンセーションを巻き起こした。【中村 とうよう】。…

※「プラード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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