ベゼクリク石窟(読み)ベゼクリクせっくつ

改訂新版 世界大百科事典 「ベゼクリク石窟」の意味・わかりやすい解説

ベゼクリク石窟 (ベゼクリクせっくつ)

中国新疆ウイグル自治区トゥルファン(吐魯番)県にある仏教石窟寺院。中国ではベゼクリクBäzeklikを伯孜克里克と記す。都城跡カラホージョ北方の火焰山中の渓谷にあり,石窟寺院と断崖空地に造営された泥煉瓦による建築とから成る。20世紀初頭に,グリューンウェーデル,ル・コック,スタインなどによって調査や壁画の収集が行われた。一部に北魏時代とされる中心に方柱を掘り出した方形窟があり,緑と青を基調とする壁画を残している。しかし,ベゼクリクの主要な時期はウイグル時代であり,長方形平面にボールト天井を架した単純な石窟が西方の断崖に沿って並び,壁画はすべて唐風の系統を引く線を強調した仏画である。その仏画は誓願図が大多数を占め,キジルや敦煌にはこの種の絵画様式がなく,ベゼクリクの特色をなしている。壁画は何回にもわたって描き直しが行われている。イスラム教徒による破壊や各国探検隊の収集に伴う損傷がはなはだしく,ほとんどが原形をとどめていない。ベゼクリクの谷を北上すると2群の仏教寺院跡がある。一つはグリューンウェーデル命名のムルトゥクMurtuk第2区の石窟5,もう一つは第3区の建造物による寺跡である。
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百科事典マイペディア 「ベゼクリク石窟」の意味・わかりやすい解説

ベゼクリク石窟【ベゼクリクせっくつ】

中国,新疆ウイグル自治区,トゥルファン北東のムルトゥク川にのぞむ崖に掘られた仏教石窟寺院遺跡。9―10世紀のウイグル人の造営したもので,内陣観音本尊とし,唐の様式を継承した壁画,塑像がある。
→関連項目トゥルファン

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