ホシダ(英語表記)Thelypteris acuminata (Houtt.) Morton

改訂新版 世界大百科事典 「ホシダ」の意味・わかりやすい解説

ホシダ
Thelypteris acuminata (Houtt.) Morton

暖地山野路傍にしばしば群生するシダ植物ヒメシダ科の常緑性草本。根茎は長く横走し,葉をまばらにつける。葉は高さ1mに近づくことがあり,葉面は単羽状で羽片が浅~中裂,下部の羽片が多少短くなることがある。羽片は鎌形になることがあり,長さ15cm,幅1.3cmくらい。裂片の小脈は7~9対,単生,最下の小脈は相接する裂片の最下の葉脈と連結して網状脈をつくる。この型の脈はヒメシダ科の網状脈に特徴的で,四角形状の網目をつくる。胞子囊群は脈上につき,円腎形の包膜をもつ。植物体全体に単細胞性の毛がつく。本州中部以西の各地に生育し,暖地へいくほど多くなる。朝鮮半島,長江以南の中国各地と台湾,インドシナに分布する。頂羽片がよく発達して穂のようにみえることからホシダと名づけられた。中国では狂犬にかまれた時の治療に,民間薬として用いられることがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホシダ」の意味・わかりやすい解説

ホシダ
ほしだ / 穂羊歯
[学] Cyclosorus acuminatus (Houtt.) Nakai

オシダ科の常緑性シダ。根茎は長くはい、1回羽状複葉をまばらにつける。葉は全体に細かい毛をもつ。葉の頂羽片は披針(ひしん)形で目だち、他の羽片はやや堅い草質で、浅裂または中裂。隣り合う2裂片の最下部の葉脈が連結して、三角形の網目をつくる。胞子嚢(のう)群は辺縁寄りに丸く生ずるが、成熟すると一列につながってみえる。包膜は円腎(えんじん)形で毛がある。関東地方以西の暖地に多く、野山の比較的明るい所に群生する。

[西田治文]


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