初夏にボール状の万重咲きまたは一重咲きの花をつけるキク科キク属Chrysanthemumの多年草であるが,園芸界では旧属名で呼ぶことが多い。和名ナツシロギク。バルカン半島,西南アジア,カフカス地方の原産であるが,ヨーロッパ,北アメリカ,南アメリカの一部にも野生化している。茎は直立し高さ60~80cm,枝を分けてその先に頭状花を多数頂生する。花径は1.5~2cm。園芸品種には白色万重咲高性のスノー・ボールSnow Ballと黄色万重咲矮性(わいせい)のゴールデン・ボールGolden Ballがあり,切花,鉢物用に栽培される。葉はヨモギに似て羽状に切れ込み質はやわらかいが煎用して解熱の効果があるので,feverfewの英名がある。種まきは9~10月,花壇や鉢植えには矮性のゴールデン・ボールを植えるとよいが,白色高性種も苗が小さいうちに摘芯すれば,腋枝(えきし)を出して低く咲かせることもできる。越冬には軽く霜よけをするが,寒地では小鉢で育苗したものを春になってから植え出すとよい。本来は多年草であるが,秋まき一年草として取り扱うほうが栽培しやすい。
執筆者:浅山 英一
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