インドネシア,ジャワ島東部の都市。人口77万0483(2003)。スラバヤの南80km,ブランタス川が市街地を貫流する。東のテンゲル山地と西のブータ(2874m),カウィ(2651m)両火山にはさまれた高原の盆地にあり,標高455m,健康に適した気候をもつ。マラン地方は,中部ジャワと並んで,古くからヒンドゥー・ジャワ文化の栄えた土地である。今日のマラン市北西部のディノヨから出土した,ジャワ暦682年(西暦760)の銘のある碑文や,避暑地バトゥ近辺のソンゴリティ寺院遺跡(推定9世紀),バドゥ寺院遺跡などは,ジャワ文化史上のいわゆる中部ジャワ期に,この地にもヒンドゥー文化の影響が及んでいたことを示している。しかし,マラン地方がジャワ史の中心舞台として姿を現すのは,シンガサリ王朝が当地を中心に勢力をふるった13~14世紀である。マラン市北方のシンガサリ寺院,東方のキダル寺院,ジャゴ寺院などの遺構が当時をしのばせる。今日のマラン市は,おもに19世紀以降,コーヒー,砂糖など農産物の集散地,鉄道・道路交通の要地として発展したものである。ことに20世紀初めからオランダ軍の基地とされて一層の発展を示し,1914年に市制を施行した。商業活動が盛んで,市の中央市場は品物の豊富なことで知られる。マラン産のタバコも有名である。市にはモダンなブラウィジャヤ博物館があって,マランに司令部を置く陸軍ブラウィジャヤ師団の戦史に関連した物品を展示している。国立ブラウィジャヤ大学もある。また,市から20kmへだたったカウィ火山北斜面のセレクタ(標高1300m)は,すぐれた山地リゾート地となっている。
執筆者:別技 篤彦+加納 啓良
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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