インドネシア,ジャワ島東部にある火山群。マラン市の東に位置し,東西10km,南北8kmの雄大なカルデラ地形を展開する。ジャワ島を貫く若い火山群の一つで,カルデラの中央にそびえるブロモ火山(2581m)は絶えず噴煙を吐く。この火山は民間信仰の対象ともなり,多くの神話伝説と結びつく。ブロモを中心にバトク,クルシなどの火山もあり,これら中央火山群の周囲は〈砂海〉を形成し,その周縁を外輪山が囲んでいる。外輪山の最高点はペナンジャカン峰で2770mに達する。西斜面には避暑地でテンゲル山地観光の基地トサリがある。ジャワの最高峰スメル山(3676m)が低い谷を隔ててそびえ,この山も広義ではテンゲル山地の一部に含まれる。山地の主として南部には約30万人のテンゲル人が居住する。彼らは中世ジャワに栄えたマジャパイト王国の落人で,今なおヒンドゥー教を基調とする特殊な慣習,生活様式を残し,民族学的に貴重な存在である。
執筆者:別技 篤彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
インドネシア、ジャワ島東部の山地。東西10キロメートル、南北8キロメートルに及ぶカルデラ地形の火山群からなる。ブロモ火山(2581メートル)を中央火口丘として、その周縁を最高峰のペナンジャカン(2770メートル)をはじめとする外輪山が囲む。カルデラ内は砂漠状の地形をなすが、外輪山の山麓(さんろく)では天然ゴム、コーヒーなどのプランテーション農業が発達している。この山地の南にはジャワ島の最高峰スメル火山(3676メートル)がそびえる。
[上野福男]
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