メマトイ(読み)めまとい

改訂新版 世界大百科事典 「メマトイ」の意味・わかりやすい解説

メマトイ (眼纏)
eye gnat
eye fly

特定の昆虫を指すのではなく,人間の眼のまわりにまとわりつく昆虫の総称で,小型のハエが多い。日本での代表的な種は,春先に森林の内外でしつこく眼にまとわりつくクロメマトイCryptochaetum grandicorneカイガラヤドリバエ科),同じく森林内に多いマダラメマトイAmiota variegataショウジョウバエ科)の2種である。眼に飛来するのは涙をなめるためといわれている。マダラメマトイは,イヌの眼に寄生するセンチュウ線虫)の一種トウヨウガンチュウ(東洋眼虫)Thelazia callipaedaの媒介者である。キリガクレメマトイHydrotaea meteoricaイエバエ科)は,旧北区に広く分布する。幼虫は牛糞内で他の昆虫の幼虫を捕食する。成虫は牧場でウシ,ウマなどに飛来するほか,人体にも好んで集まり,汗や体液をなめる。古語の〈まくなぎ〉は,まばたきの意で,漢字では蠛蠓と書く。小型のユスリカやガガンボダマシ類などの双翅類昆虫が群飛する様をいい,これが飛散する際にまばたきすることからこのことばが生まれた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メマトイ」の意味・わかりやすい解説

メマトイ
めまとい / 目纏

昆虫類のハエのうち、山野で人の顔の周りをうるさく付きまとう小形種の総称。目に飛び込むこともあり、トラコーマなどの眼病を媒介することが知られている。日本に産するメマトイには、ヒゲブトコバエ科のクロメマトイCryptochaetum grandicorneとショウジョウバエ科のマダラショウジョウバエ(マダラメマトイ)Amiota variegataが代表的な種である。前者は、体長約3ミリメートル、翅長(しちょう)約3.5ミリメートル。後者は、体長約4ミリメートル、翅長約3.6ミリメートル。両種とも体は黒色を帯びる。

[伊藤修四郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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