メーリニコフ(英語表記)Pavel Ivanovich Mel'nikov

改訂新版 世界大百科事典 「メーリニコフ」の意味・わかりやすい解説

メーリニコフ
Pavel Ivanovich Mel'nikov
生没年:1818-83

ロシア作家。貧しい貴族の子として生まれ,カザン大学卒業後中学校の教師となるが,民俗学的研究とくにロシア正教会からの分離派に関する知識を買われ,ニジェゴロド県ついで内務省官吏に任用されて,分離派に対する行政を担当する。1850年代以後はペチェルスキーAndrei Pecherskiiの筆名を用いてボルガ流域を舞台とする作品を発表するが,代表作は晩年の二部作《森の中で》(1871-74)と《山の上で》(1875-81)である。これらの作品では,奥ボルガ地方とボルガ中流で,昔ながらの信仰や習慣を守りながら,自由で質朴な生活をいとなむ分離派教徒の生き方が,民俗色豊かに描かれている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メーリニコフ」の意味・わかりやすい解説

メーリニコフ
めーりにこふ
Павел Иванович Мельников/Pavel Ivanovich Mel'nikov
(1818―1883)

ロシアの作家。貧しい貴族の出身。ロシア正教会からの分離派について造詣(ぞうけい)深く、内務省に入って宗教行政を担当する。1850年代以後アンドレイ・ペチェルスキーАндрей Печерский/Andrey Pecherskiyの筆名でボルガ流域を舞台とする短編小説をいくつか発表するが、代表作は晩年の二部作『森のなかで』(1871~74)と『山の上で』(1875~81)である。これらの作品では、奥ボルガ地方とボルガ中流地方で昔ながらの分離派の信仰と独特の習慣を守りながら自由で素朴な生活を営む農民や商人たちの生き方が、民俗色豊かに描かれている。民俗学的研究もある。

中村喜和

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