ヨベルの年(読み)ヨベルのとし(その他表記)Yobel; year of Jubilee; Holy Year

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨベルの年」の意味・わかりやすい解説

ヨベルの年
ヨベルのとし
Yobel; year of Jubilee; Holy Year

聖年安息の年ともいう。イスラエル人が 50年目に迎える自由と解放の年。旧約聖書によれば,イスラエル人は7日ごとの安息日に則して,6年間は農耕に従事してよいが,7年目には土地を休ませ,耕作してはならないと定められていた (出エジプト記 23・10~11,レビ記 25・4) 。この年を安息の年という。これが7たび重なった年,すなわち 49年目の7月 10日に贖罪の日が訪れるとされ,50年目は聖別され,すべての人に自由が与えられた (レビ記 25・8~15) 。この日,雄羊の角のラッパが全国に響き渡り,それを合図に民は自由を得,奴隷も解放され,おのおのの故郷へと帰ってゆく。土地はもとの所有者に戻され,また畑の耕作も禁止される。 70年のエルサレム陥落まで行われた。ローマ・カトリックでは遅くとも 1300年から 100年ごとに聖年が設けられ恩赦の年とされ,ローマへ巡礼する人に精神的報いが与えられた。のち 50年,25年に短縮,それ以外にも特別の機会に聖年が宣言され,巡礼も全世界の特定の聖堂ならどこでもよいと拡張された。開始はローマの四大聖堂の「聖年の扉」を打ち破る儀式で告げられる。最近は第2バチカン公会議終結 (1965) を機に 1966年,和解と刷新を目指して 74~75年,またキリスト使徒復活 1950年祭を記念して 83~84年が聖年とされた。

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世界大百科事典(旧版)内のヨベルの年の言及

【聖年】より

…旧約聖書《レビ記》25章10節以下に見られる〈ヨベルの年〉から出た習慣。ヨベルとはヘブライ語で角から作られたらっぱを意味し,安息日の思想と実践を年に移した〈安息の年〉の原理をさらに拡大した七週年(7×7年)が満了した翌年の50年目を,解放,恩赦の年(大安息年)としてらっぱの吹奏で告知したことに由来する。…

※「ヨベルの年」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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