安息(読み)アンソク

デジタル大辞泉 「安息」の意味・読み・例文・類語

あん‐そく【安息】

[名](スル)
何の煩いもなく、くつろいで休むこと。
「この広き国土一隅に―することを許さないのだ」〈木下尚江良人の自白
安息香あんそくこう」の略。
[類語]安堵安心一安心気休め安全大丈夫人心地安んずる胸を撫で下ろす

あんそく【安息】[国名]

パルティア王国。中国で、王朝名アルサケスを音訳しての称。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「安息」の意味・読み・例文・類語

あん‐そく【安息】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ( ━する ) 何の心配も苦痛もなく、安らかに休むこと。
      1. [初出の実例]「姑く議論を止めて、安息を受くべしと言ひければ」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一一)
      2. [その他の文献]〔詩経‐小雅・小明〕
    2. あんそくこう(安息香)」の略。
      1. [初出の実例]「此中沉、欝金、龍脳、安息、丁子、薫陸、昨夕自院所奉、且渡之」(出典:権記‐長保二年(1000)九月二八日)
  2. [ 2 ] 西域の国名。ペルシア地方の王国パルティアをさす。漢代には、西はチグリス、ユーフラテス両河から、東はオクソス河にわたる地方に勢力を振るった。〔史記‐大宛伝〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「安息」の意味・わかりやすい解説

安息 (あんそく)
Ān xī

パルティア王国に対する古代中国人の呼称で,この王朝が始祖アルサクArsakにちなんでアルサケス朝と呼ばれていたことに由来する。前2世紀末の張騫ちようけん)によって中国に紹介されて以来,南北朝期までの漢籍にみられる。なお《漢書西域伝では安息国の都を番兜城(ばんとうじよう)と伝えているが,この番兜こそがパルティアを示すと考えられている。
パルティア
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

普及版 字通 「安息」の読み・字形・画数・意味

【安息】あんそく

しずかにいこう。〔詩、小雅、小明〕嗟(ああ)爾(なんぢ)君子 安息を恆(つね)にすること無(なか)れ

字通「安」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の安息の言及

【アルサケス朝】より

…彼の後継者は王の称号として代々アルシャクを名のった。アルサケスはギリシア・ローマの文献にみえる呼名であり,中国では安息と記された。史料の不足のほかに,王権の動揺と対立王の出現が,アルサケス朝の継承関係や王の在位年代の確定をきわめて困難にしている。…

【パルティア】より

…アルサケス朝パルティアともいう(図)。中国ではアルシャクArshak(アルサケスArsaces)を音訳した〈安息〉の名で知られる。パルティアはイラン北東部の地方名で,アケメネス朝時代にはパルサワParthavaと呼ばれていた。…

※「安息」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android