ルシフェリン

デジタル大辞泉 「ルシフェリン」の意味・読み・例文・類語

ルシフェリン(luciferin)

生物発光で、ルシフェラーゼ触媒作用により酸化されて発光する低分子物質総称発光細菌・ウミボタル・蛍などに存在し、分子構造種類により異なる。発光素

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化学辞典 第2版 「ルシフェリン」の解説

ルシフェリン
ルシフェリン
luciferin

発光素ともいう.生物発光に関与する酸化性物質の総称.酵素ルシフェラーゼの作用により酸化されてオキシルシフェリンになり,それが基底状態になるときに可視光を発光する.多種類のルシフェリンが知られており,たとえば,ゲンジボタル,日本産ウミホタル,ラチア貝などのルシフェリンの構造が明らかになっている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルシフェリン」の意味・わかりやすい解説

ルシフェリン
luciferin

生物発光の際に酸化されて発光する化合物の総称。反応はルシフェラーゼという酵素によって触媒される。ルシフェリンという名は,発光現象に注目した機能的名称で,物質としては単一の化合物に対するものではなく,生物種によってさまざまに異なっている。ホタル,ウミホタル,発光クラゲなどで研究が進んでいる。ホタルの場合,ルシフェリンは窒素硫黄を含む複素環化合物であることがわかっており,反応機構も判明している。それによると,還元型ルシフェリン ( LH2 ) とアデノシン三リン酸 ATPが反応して ( LH2 +ATP→L-AMP+ピロリン酸) ,次いでこれに酸素が加わって活性化されつつ発光する (L-AMP+ O2 →L+ H2O +光) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルシフェリン」の意味・わかりやすい解説

ルシフェリン
るしふぇりん
luciferin

発光素ともいい、生物発光における発光物質で、ルシフェラーゼの触媒作用基質となる物質の総称。ルシフェリン‐ルシフェラーゼ反応以外の生物発光もある。

[編集部]

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栄養・生化学辞典 「ルシフェリン」の解説

ルシフェリン

 ルシフェラーゼの基質で,ATPの存在下でルシフェラーゼの触媒により発光する一群の化合物の総称.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のルシフェリンの言及

【生物発光】より

…生物発光はほとんど熱を伴わないきわめて効率の高い光(効率97%)を生物が発することであり,現在の人工照明,人工的化学発光の効率をはるかに越える有機化合物の酸化反応によるエネルギー放射とみなされる。この発光はある光線が照射されている間だけ光るリン光や蛍光と区別され,熱に安定なルシフェリンluciferinと不安定なルシフェラーゼluciferaseと呼ばれる物質の反応(L‐L反応と呼ばれる)により生じる。L‐L反応は1916年にハーベーE.N.Harveyにより発見され,ホタルルシフェリンは1957年にマッケルロイW.D.McElroyらによりPhoturis pyralisというホタルから単離された。…

【ホタル(蛍)】より

…発光器は透明な表皮,発光細胞からなる発光組織,その奥の反射層からなり,発光組織には気管と神経が網目状に入りこんでいる。発光細胞にはルシフェリンという発光物質とルシフェラーゼという酵素があり,この酵素の働きでルシフェリンが酸化するときに光を放つ。この発光の過程でATP(アデノシン三リン酸)からのエネルギーの供給と神経からの刺激が必要である。…

※「ルシフェリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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