日本大百科全書(ニッポニカ) 「発光現象」の意味・わかりやすい解説
発光現象
はっこうげんしょう
発光を伴う自然現象。自然界における発光現象としては、天文現象として太陽・月・星の光や黄道光、対日照、また地球大気中の現象としてはオーロラ、大気光、雷光、火山雷のほか、発光器官を備えた生物体(昆虫、菌類)の発光がある。
発光現象のうち、出現が瞬間的もしくは短時間であるものは、大気中の発光現象の正体は不明の場合が多いが、多くの見聞を集めてみるとさまざまな共通性があり、そのなかには錯覚や心理的幻覚が一部含まれていることがある。しかしこのことで現象そのものを全面否定することはできない。大槻義彦(おおつきよしひこ)が日本におけるおよそ1500件の「火の玉」とよばれる発光現象の情報を分類整理したもの(1986)によると、そこには次の四つのタイプがあることが明らかにされている。(1)球電(きゅうでん)型(オレンジ色、白色、青色で強い雷雨のときに見られる)、(2)火球(かきゅう)型(丸い火の球がぱちぱちと火花を散らす型)、(3)いわゆる鬼火型(可燃性と思われる尾を引く)、(4)火柱型、である。
このうち(4)には竜巻が夜間に発光する場合もあり、これについては写真が撮られていて、(1)とともに大気中の電気的現象による発光と考えられる。電気的な発光現象にはこのほか、強雷時、とがった物体の先端にみられる「セント・エルモの火」がある。(2)は顕著な流星現象がみられるが、気象学上の異常屈折現象としては不知火(しらぬい)、狐火(きつねび)のような場合がある。
発光現象にはこのほか、海洋面においても現れることがあり、この場合は船舶からの波が刺激となってプランクトンや群生するイカなどが発光することが知られている。
[根本順吉]