山川 世界史小辞典 改訂新版 「ルネサンス様式」の解説
ルネサンス様式(ルネサンスようしき)
ルネサンスという用語は,16世紀イタリアの画家,美術史家ヴァザーリがその著『美術家列伝』で用いた「リナーシタ(復活)」に由来する。実際には,まず,古代ギリシア,ローマ美術の主要概念である自然主義の萌芽が顕著な14世紀のトスカーナ地方の美術を前段階(プロト・ルネサンス)とする。以降15~16世紀にイタリアにおいて展開したこの芸術様式を3段階に区分する。まず15世紀の人文主義に鼓吹されたフィレンツェを中心とし,自然研究と古代復興を基軸に遠近法などの芸術理論を適用した美術を初期ルネサンス。ついで,その古典主義の伝統を完成に導いたレオナルド・ダ・ヴィンチ,ラファエロ,ミケランジェロらを中心とし,優美と調和を理想とする15世紀末期から16世紀前期を盛期ルネサンス。さらに16世紀以降バロックへの展開を促した高度に知的・技巧的なマニエリスム様式の時代は後期ルネサンスとして位置づけられる。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報