ロシアの古名。この名称が明らかにスウェーデン人を指して初めて文献の上に表現されるのはフランスの《ベルタン年代記》の839年の項である。のちに意味が転じ,〈ロシア〉の古名とされた。しかしそれが人種的・民族的な概念としての部族の名称なのか,それとも部族連合体=同盟を呼んだのか,または一定の地域を指す地理的用語か,は意見が分かれる。この言葉が何に由来し,とくに北方のスカンジナビア・ノルマン人に関係するか,南方に起源するか(スラブ説,ハザール説,ゴート説)は,古代ロシア国家の起源問題とも関連して長い間,論議されてきた。その主要な意見はノルマン人を起源とする〈ノルマン説〉と〈反ノルマン説〉である。ふつう,ルーシとはドニエプル川中流域に形成された9世紀の東スラブ族の最初の国家の名称とされ,12世紀初めまでは,首都キエフの名にちなみ,キエフ・ルーシ(キエフ・ロシア)と呼ばれた。12~13世紀には,古代ルーシの〈地〉とか〈公国〉と呼ばれ,13世紀以降は白ルーシ,小ルーシの名もおこる。
→ロシア
執筆者:清水 睦夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ロシアの古名。語源についてはスカンディナヴィア起源を主張するノルマニストと,それに反対しスラヴ起源を説く学者の間に多年の論争がある。ノルマニストによれば,ギリシア語でノルマン人をさす「ルス(Rus)」から来ているという。ノルマン人たるリューリクが招かれて支配した土地が「ルーシ」と呼ばれた。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
「ルス」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…オペラの分野ではムソルグスキーの《ボリス・ゴドゥノフ》(1869)と《ホバンシチナ》(1880),A.P.ボロジンの《イーゴリ公》(1890初演),リムスキー・コルサコフの《雪娘》(1881)や《サトコ》(1896)などがあるが,大衆の場面に重要な意味を与えた点に独自な劇作法を指摘できる。 管弦楽の分野では絵画性と風俗描写などを特徴としてあげることができるが,ボロジン(二つの交響曲と交響詩《中央アジアの草原にて》(1880)など)とバラーキレフ(《三つのロシアの歌の主題による序曲》(1858),交響詩《タマーラ》(1882)と《ルーシ》(1887)など)はロシア管弦楽の確立者の一翼をになっているし,リムスキー・コルサコフ(《スペイン奇想曲》(1887),《シェエラザード》(1888)など)の色彩豊かな管弦楽法はロシア音楽の古典になった。室内楽ではわずかにボロジン(二つの弦楽四重奏曲)をあげることができるにすぎない。…
…旧ロシア帝国もソ連もきわめて多くの民族から成り立っているという点で共通しているが,一貫して最も中心的な立場にあるのがロシア人である。
[名称の由来]
ロシアという言葉が文献に表れるのは15世紀末,それが国家の名称として公式に用いられるのは18世紀初めからであって,それ以前はルーシRus’という古形が使われた。今でもロシア人を意味するロシア語〈ルースキーrusskii〉はルーシの形容詞形である。…
…6~7世紀にはアバール,ブルガール,ハザルなどのトルコ系諸民族,スラブ系アント人などが南下して北岸地方を支配。9~12世紀にはドニエプル川を下って来たルーシが交易権を掌握,海も〈ルーシの海〉と呼ばれたが,その勢力はモンゴル人の征服によって失われた。1202年の第4回十字軍以降イタリア商人の進出が顕著となり,ジェノバは61年ビザンティン皇帝ミハイル・パレオロゴスより交易独占権を獲得,沿岸に商館網を整備,北方と東方の物産をコンスタンティノープル経由でヨーロッパにもたらした。…
… また,スウェーデン人はノブゴロドおよびキエフにおける政治権力の形成にかかわった。キエフの《過ぎし年月の物語》は,ロシアの古名ルーシそのものが北欧の一種族の名称からきたと述べ,スウェーデン人の征服によってキエフ・ルーシ(キエフ・ロシア)権力が成立したという。彼らが少なくとも雇い兵的軍事力として初期ロシア政治史に関与したことは確実である。…
…旧ロシア帝国もソ連もきわめて多くの民族から成り立っているという点で共通しているが,一貫して最も中心的な立場にあるのがロシア人である。
[名称の由来]
ロシアという言葉が文献に表れるのは15世紀末,それが国家の名称として公式に用いられるのは18世紀初めからであって,それ以前はルーシRus’という古形が使われた。今でもロシア人を意味するロシア語〈ルースキーrusskii〉はルーシの形容詞形である。…
※「ルーシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
7/22 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新