レックス(その他表記)rex

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レックス」の意味・わかりやすい解説

レックス
rex

古代ローマ人の王の呼称。語源的には regere (指揮する) に由来すると考えられている。そのことば自体,ローマの古史に王政の存在を立証するもので,伝承,考古学,法的・宗教的遺制によっても裏づけられている。この語はローマ中央広場 (フォールム・ロマーヌム) の黒石 Lapis Nigerの碑文に表れているが,その製作年代およびここにいう rexとは真に王を意味するのか,レックス・サクロルム (祭王) なのか決定しがたい。初期の王政は世襲制ではなく,個人的に選出された。それは中間王 (インテルレックス) によって指名され,即位式の際ユピテル神によって任命された。しかし王政最後のタルクイニウス家の諸王は世襲的で,エトルリアの影響とみられる。ローマ共和政は rexになじまず,ユリウス・カエサル暗殺の素因となり,アウグスツスも rexと呼ばれず,元首 princepsの称号をとった。

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