日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローレンツェン」の意味・わかりやすい解説
ローレンツェン
ろーれんつぇん
Paul Lorenzen
(1915―1994)
ドイツの数学者、科学哲学者。ボン大学にて大学教授資格を取得。1962年以降エルランゲン大学教授。特定の公理系を予想しない一種のメタレベルの公理系の構成を目ざす操作論理学を提唱し、数学基礎論学界に新風を吹き込む。その後ユニークな対話的構成基準に基づく規範論理学を確立して合理論と経験論を巧みに統合するとともに、実践哲学においても規範の弁証法的な発生論を説いて独特な学風を築いた。おもな著作に『操作論理学および操作数学入門』(1955)、『形式論理学』(1958)、『厳密学の発生』(1960)、『メタ数学』(1962)、『論理学のための予備学』(1967)、『方法的思惟(しい)』(1968)、『規範論理学と規範倫理学』(1969。邦訳『コトバと規範』)などがある。
[遠藤 弘]
『遠藤弘訳『コトバと規範――論理、倫理の哲学的基礎づけ』(1972・理想社)』