デジタル大辞泉
「実践哲学」の意味・読み・例文・類語
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じっせん‐てつがく【実践哲学】
- 〘 名詞 〙 倫理、宗教、法律、経済、政治、技術などの領域にわたって、意志決定の行為を含んでいる実践的な事柄についての哲学。規範を組織化し、行為の領域であるべきこと、またはなすべきことを規定する哲学。狭義には倫理学、道徳哲学をさし、通俗的には、日常生活上の指導を与えるような哲学をさす。⇔理論哲学。
- [初出の実例]「其実践哲学の要領を挙れば、既に純理の部に於て自己を確むる為め非自己なるものを造り出せりとなせしと同じく」(出典:哲学涓滴(1889)〈三宅雪嶺〉四)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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実践哲学
じっせんてつがく
practical philosophy
哲学のなかで、人間の実践(プラクシス)にかかわる諸問題を扱う部門が実践哲学とよばれる。アリストテレスは、人間の広義での知的活動を「見る」「行う」「作る」に分け、それぞれに理論学、実践学、制作学を対応させたが、このうちの実践学すなわち実践哲学は「人間がなす事柄についての哲学」であり、それは具体的には倫理学と政治学とを含むポリスの学、つまり広義での国家学をさしていた。しかし18世紀のカントによる理論理性と実践理性の区別以後、実践哲学は事柄を純粋に理論的に扱う理論哲学に対置されるのが普通である。つまり人間の倫理的、実践的な諸問題、たとえば、善とは何か、義務とは何か、価値とか規範とは何かといった諸問題について、それらを事実として理論的に分析するだけではなく、それらを人間存在のあるべき姿との連関において、原理的に考察するのが実践哲学といえよう。ところでカントによると、哲学とは「人間理性の究極諸目的の学」であるが、そうした諸目的のうちでもっとも究極的な目的は「人間の全体的規定」であって、それに携わるのが道徳学、すなわち実践哲学である。カントはこうした視点から、哲学の内部でも理論理性に対して実践理性が優位を占めるとした。カントのほかにも、哲学の根本は人間がいかに生きるべきかを問うことにあるとして、哲学における実践哲学の優位性を強調する哲学者は多い。
[宇都宮芳明]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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実践哲学
じっせんてつがく
philosophia practica
思弁哲学あるいは理論哲学に対置される哲学の一部門。実践的認識を対象とする。思弁が知ることを目的とするのに対して実践的認識は行為に向けられている。この場合行為には大別して2つの分野が考えられる。博愛,寛大,忍耐などのように行為の主体を完成するものと,創作,建築などのように行為の対象が完成されるもの。前者は倫理の領域で倫理学が対応し,後者は技術の領域で技術哲学 (→技術論 ) が対応する。実践哲学はこれら両者の総合を目指すものである。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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