世界遺産詳解 の解説 ヴィルヘルムスヘーエじょうこうえん【ヴィルヘルムスヘーエ城公園】 2013年に登録された世界遺産(文化遺産)。高さ40mのピラミッドの上のヘラクレス像を仰ぎながら、長い丘を下りていくと、ヴィルヘルムスヘーエの堂々たる水の芸術を目の当たりにする。丘陵地の斜面にある公園としてはヨーロッパ最大規模である。1689年にヘッセン=カッセル伯爵カールがバロック庭園をここにつくり、19世紀に至るまで拡張されていった。ヘラクレス像の背後の貯水池と水路から、段差による水圧を利用した装置で水が供給されている、バロック様式の水上大劇場やグロット(装飾された庭園の岩屋)、350mの多段式の滝がある。これよりさらに先には、水路が展開し、天然の早瀬や50mの高さに及ぶ間欠泉のような大噴水、そして湖や点在する池にも水が供給されている。この公園の名にもなっているカールのひ孫であるヴィルヘルム1世がつくった幻想的な庭園を、こうした水の芸術がより華やいだものにしている。広大な庭園とそびえ立つヘラクレス像は、18~19世紀のヨーロッパの専制君主制時代の理想を描き、公園全体が、バロック期およびロマン主義期の美学の何たるかを今に伝えている。◇英名はBergpark Wilhelmshöhe 出典 講談社世界遺産詳解について 情報