一休諸国ばなし(読み)いっきゅうしょこくばなし

改訂新版 世界大百科事典 「一休諸国ばなし」の意味・わかりやすい解説

一休諸国ばなし (いっきゅうしょこくばなし)

禅僧一休を主人公とする講談幼時からとんちと奇行で知られた一休の回国譚という形式である。仮名草子には,近世初頭成立の《一休咄》があるが,明治期の速記本に《一休和尚諸国漫遊記》《一休禅師諸国奇談》の類がある。講談では室町幕府奉行を務めた蜷川新左衛門を供に回国,奇妙な引導を渡したり身延山で念仏入りのわび証文を書いたりする。ただし漫遊の範囲は東海から畿内周辺程度であり,《黄門記》ほど話に成長はみられない。高僧との問答狂歌の引用に特色がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の一休諸国ばなしの言及

【一休】より

…かくして一休は問答を得意とする風狂的な禅僧としてのイメージを強くし,江戸時代における人気は絶大なものとなった。《一休咄》以後,《一休関東咄》《二休咄》《続一休咄》《一休諸国ばなし》などが生まれ,ついに60余点にものぼる一休の逸話に関する本が出版されるに至った。一休の人気は近代に入っても衰えず,子ども向けの絵本や童話にも採用され,現代のテレビでも一休さんのアニメーションが人気番組となっている。…

※「一休諸国ばなし」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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