日本歴史地名大系 の解説
一六四三年アイヌ社会探訪記―フリース船隊航海記録(フリース船隊航海記)
一六四三ねんアイヌしやかいたんぽうき―フリースせんたいこうかいきろく
一冊 北構保男著 雄山閣 昭和五八年刊
解説 一六四三年オランダ東インド会社の命を受け、伝説的な金銀島の探索のために蝦夷島東部・サハリン周辺を初めて探検した航海者フリース一行の探検を、主として航海士クーンの日誌にもとづいて解説。この航海は日本の北辺地域における最初の地理調査であり、そのときに作製された地図は、その後一五〇年にわたりヨーロッパの地図学に決定的な影響を与えた。さらにクーンの航海日誌には彼らが蝦夷島・千島・サハリンの各地で出会ったアイヌについての最初の詳細な民族誌が含まれている。根室在住の考古学者・民族学者として戦前からこれらの地域をフィールドにしてきた著者は、本書のなかでこの航海において初めて観察されたアイヌ社会の記述に重点をおき、とくに住民の生活様式・習俗・知性に関する証言を高く評価している。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報