一拳(読み)いっけん

精選版 日本国語大辞典 「一拳」の意味・読み・例文・類語

いっ‐けん【一拳】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一つのにぎりこぶし。また、そのくらいの大きさ。
    1. [初出の実例]「未昔妨三径従来一拳」(出典菅家文草(900頃)二・古石)
    2. [その他の文献]〔白居易‐哭崔常侍晦叔詩〕
  3. ( ━する ) 拳(こぶし)で一打ちすること。
    1. [初出の実例]「一拳の下に俊三の呼吸は絶ゆるであらう」(出典:良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉後)
  4. (けん)を一勝負打つこと。
    1. [初出の実例]「利中さん。一拳(いッけん)まいろふ」(出典:洒落本辰巳之園(1770))

ひと‐こぶし【一拳】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 片手一度につかむくらいの分量。ひとつかみ。ひとにぎり。また、にぎりこぶし。
    1. [初出の実例]「おそらくもなんごうならば一こぶし もってまいらふさかづきの影〈由平〉」(出典:俳諧・大坂独吟集(1675)下)
  3. 弓術で、一度矢を放つこと。
    1. [初出の実例]「的矢に弓を取副へて〈略〉一度(ひトコブシ)遊ばし候へ」(出典:太平記(14C後)一二)
  4. 鷹狩で、一度鷹を放つこと。
    1. [初出の実例]「鷹野出立のりりしげにすたすたと立帰り、〈略〉去ながら殿には今一こぶしあそばしお入有ぞ」(出典:浄瑠璃・心中宵庚申(1722)上)
  5. 一種の器量があること。ある種の才能があること。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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