一拳(読み)ひとこぶし

精選版 日本国語大辞典 「一拳」の意味・読み・例文・類語

ひと‐こぶし【一拳】

〘名〙
片手一度につかむくらいの分量。ひとつかみ。ひとにぎり。また、にぎりこぶし
※俳諧・大坂独吟集(1675)下「おそらくもなんごうならば一こぶし もってまいらふさかづきの影〈由平〉」
② 弓術で、一度矢を放つこと。
太平記(14C後)一二「的矢に弓を取副へて〈略〉一度(ひトコブシ)遊ばし候へ」
鷹狩で、一度鷹を放つこと。
浄瑠璃心中宵庚申(1722)上「鷹野出立のりりしげにすたすたと立帰り、〈略〉去ながら殿には今一こぶしあそばしお入有ぞ」
一種器量があること。ある種の才能があること。

いっ‐けん【一拳】

〘名〙
① 一つのにぎりこぶし。また、そのくらいの大きさ。
菅家文草(900頃)二・古石「未昔妨三径従来一拳」 〔白居易‐哭崔常侍晦叔詩〕
② (━する) 拳(こぶし)で一打ちすること。
良人自白(1904‐06)〈木下尚江〉後「一拳の下に俊三の呼吸は絶ゆるであらう」
③ 拳(けん)を一勝負打つこと。
洒落本辰巳之園(1770)「利中さん。一拳(いッけん)まいろふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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