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万人祭司 ばんにんさいしuniversal priesthood

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

万人祭司
ばんにんさいし
universal priesthood

キリスト教神学用語で,すべてのキリスト信者はキリストの司祭職に参与するとの教説。神と人間との間にはこええない断絶がある。したがっていかなる人間も有効に神に近づき,祈りやいけにえを捧げ,恩恵を受けることはできない。いわゆる旧約においては,神がイスラエルの民と特別な契約を結んだゆえ,人間は神に近づけるようになったが,それは全人類ではなく,神がイスラエルのなかから特に選んだ少数の祭司 (階級) を媒介としてであった。これに対してキリスト教では,唯一の仲保者イエス・キリストが十字架上の死と復活によって1回限りでしかも十分ないけにえを捧げたので,以後一切の人間的祭司は無用となり,人間が捧げるいけにえは無効となり,すべての信者は,キリストにおいてだれでも直接に神に近づくことができる。すなわち,すべてのキリスト信者は,キリストにおいて例外なく祭司である。初代教会以来主張されてきたこの教説は,完全に無視されたわけではないが,すでに2世紀から牧会など教会の特別な奉仕に専従する階層が定着し,キリスト教のローマ国教化とともに,いわゆる聖職者が帝国行政機構に組込まれて一種の司祭階級が固定し,中世教会では,万人祭司は背景に埋没した。 16世紀の宗教改革における万人祭司の強調は,このことへの深刻な反省であり,洗礼によってすべての信徒は神の聖務を担当する祭司に任職されるという主張は,階級的身分としての祭司を否定し,神のわざに参与する役割として祭司を理解した。対抗宗教改革期のカトリックでは,当然反動として万人祭司に否定的であったが,第2バチカン公会議 (1962~65) 前後から,見直しが行われ,信徒使徒職が強調されてきている。

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世界大百科事典内の万人祭司の言及

【プロテスタンティズム】より

…それゆえこの概念は特にローマ・カトリック教会との対比を強く含意している。この起源におけるプロテスタンティズムの基本的な立場は,人間の善い行為(功績)によらない,恩恵としての〈信仰のみによる〉救いを説く〈信仰義認〉,教権や伝統でなく〈聖書のみ〉を規範的権威と認める聖書原理,信ずる各人が直接神の前に立つという〈万人祭司主義〉の3点を特徴とする。これらの点で〈福音的〉あるいは〈福音主義的〉キリスト教とも呼ばれる。…

※「万人祭司」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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