万年屋跡(読み)まんねんやあと

日本歴史地名大系 「万年屋跡」の解説

万年屋跡
まんねんやあと

川崎宿久根崎くねさき町にあった茶屋。明和年間(一七六四―七二)には一三文均一の一膳飯屋であったといわれ、庶民の旅の普及、川崎大師参詣者の増大とともに宿内一の茶屋に発展し、宿泊を賄うようになった。文久三年(一八六三)二月一三日今般御上洛ニ付書上宿図(森文書)によれば、江戸口から二軒目で往還に面しており、表屋敷と別屋敷の二棟があり、ともに二階屋であった。表屋敷一階は間口一一間半、奥行一二間、畳数九一、坪数一二三、二階は三八畳、二〇坪。別屋敷一階は間口五間半、奥行四間半、坪数二四、畳数二七畳半、同二階は坪数二四、畳数三六である。この規模は当時本陣を除いては旅籠・茶屋中最大である。

「江戸名所図会」および文久三年四月外交交渉使節として来日したスイス人アンベールの「幕末日本図絵」に、旅人が輻輳する店舗のさまが描かれている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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