川崎市(読み)カワサキシ

デジタル大辞泉 「川崎市」の意味・読み・例文・類語

かわさき‐し〔かはさき‐〕【川崎市】

川崎

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日本歴史地名大系 「川崎市」の解説

川崎市
かわさきし

面積:一四二・二一平方キロ
川崎かわさき区・さいわい区・中原なかはら区・高津たかつ区・宮前みやまえ区・多摩たま区・麻生あさお

県の東部に位置し、東京都との県境となる多摩川の右岸に沿って西北の丘陵から東南の臨海部へ帯状に広がる。西北部が標高四〇メートル程度の丘陵と谷戸の続く起伏の多い地形であるのに対し、東南部はおおむね沖積平野で、東端は東京湾に面する。多摩川のほか西南の横浜市との境の一部を鶴見つるみ川が流れ、ともに東京湾へ注ぐ。丘陵から流れる矢上やがみ川・五反田ごたんだ川・有馬ありま川・平瀬ひらせ川などの小河川はこれら二河川へ合流している。東端の川崎区の臨海部は近世初期に干拓による幾つかの新田村が成立、また明治以降京浜工業地帯の形成に伴い広大な埋立地が造成された。

川崎の地名は弘長三年(一二六三)二月八日付勝福寺鐘銘(県史一)に「武州河崎荘内勝福寺」とみえ、多摩川のさきという自然地名によるものと考えられる。

〔原始〕

遺跡は西北部丘陵一帯に集中して分布する。麻生区黒川東くろかわひがし遺跡から旧石器時代の石器が発見されている。縄文時代のものでは早期の高津区子母口しぼくち貝塚(県指定史跡)が著名で、マガキ、ハイガイ、シジミなどの貝が出土し、同地丘陵下が内湾的水域環境にあったことを示す。遺跡数の多くなる中期の宮前区潮見台しおみだい遺跡では住居跡の全面発掘により舌状台地につくられた集落景観がとらえられ、出土土器には南関東の加曾利式とともに信州文化圏にみえる曾利系が含まれている。弥生時代のものでは高津区かじ谷神明社上やしんめいしやうえ遺跡があり、ほかに多摩区長尾ながお鯉坂こいさか遺跡では一辺二〇メートルに及ぶ方形周溝墓が発掘され、階級社会の進展をうかがわせる。四世紀末築造された幸区加瀬かせ山麓の白山はくさん古墳(消滅)は全長八七メートルの県下最大規模の前方後円墳で、前方部に一、後円部に三つの槨をもつ特有の形態を示し、三角縁神獣鏡・鉄製農具などが副葬されていた。六世紀になると市域の各地で円墳がみられ、七世紀には切石を持送り式に築いた優れた横穴式石室をもつ宮前区馬絹まぎぬ古墳(県指定史跡)が造営されている。こののち市域丘陵では横穴古墳が盛行し、一方で七、八世紀から平安初期にかけて仏教文化に伴う火葬蔵骨器による埋葬が行われた。分布は高津・宮前両区を中心とし、一部多摩区や横浜市みどり区方面に及び、その出土例が他に比べ著しく高いのが注目される。

〔古代〕

律令制下において当市はほぼ武蔵国橘樹たちばな郡に包摂され、一部西北部丘陵が都筑つづき郡に含まれた。「和名抄」の橘樹郡条にみえる橘樹・御宅みやけ県守あかたもり駅家うまやの四郷が市域に比定され、「延喜式」(兵部省)の諸国駅伝馬条の小高おだか駅は同郡内に比定される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「川崎市」の意味・わかりやすい解説

川崎〔市〕
かわさき

神奈川県北東部,多摩川下流右岸,多摩丘陵と多摩川の沖積地にある市。1924年市制。1972年政令指定都市となり川崎区幸区中原区高津区多摩区の 5区を設置。1982年高津区から宮前区が,多摩区から麻生区がそれぞれ分区して 7区となった。地名の由来は,中世,河崎冠者基家が開いた荘園名にちなむとする説など諸説がある。江戸時代には,東海道に沿う旧川崎町をはじめ矢倉沢往還溝口中原街道の小杉などが宿場町,市場町としてにぎわった。明治末東京湾岸を埋め立てて工場用地の造成が始まり,ことに関東大震災後は大工場の進立が目立った。第2次世界大戦中には,内陸部へも工場地域が広がり,京浜工業地帯の中核となった。工業生産額は日本有数。石油コンビナート,製鉄,機械,化学,セメントなどの大工場が臨海地域に,電機,自動車,機械,金属などの工場が内陸に多い。北西部の丘陵地では畑作と果樹栽培が行なわれていたが,東京急行電鉄東横線および田園都市線,小田急電鉄小田原線および多摩線,京浜急行電鉄で東京と結ばれたために,宅地化が進み,特に 1950年代からは大規模な住宅団地が造成されて人口が急増。平間寺川崎大師)は厄よけ大師として全国的に有名である。よみうりランド,日本民家園などがある。JR東海道本線,京浜東北線横須賀線,南武線,鶴見線,国道1号線(第二京浜道路),15号線(第一京浜道路),132号線,246号線,409号線が通る。首都高速道路,第三京浜道路,東名高速道路が通り,数ヵ所のインターチェンジがある。面積 143.01km2。人口 153万8262(2020)。

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