奈良茶飯(読み)ならちゃめし

精選版 日本国語大辞典 「奈良茶飯」の意味・読み・例文・類語

なら‐ちゃめし【奈良茶飯】

〘名〙
① 薄く入れた煎茶でたいた塩味の飯に濃く入れた茶をかけて食べるもの。また、いり大豆小豆(あずき)・栗・くわいなどを入れてたいたものもある。もと奈良東大寺興福寺などで作ったものという。ならちゃがゆ。ならちゃがい。ならちゃ。〔本朝食鑑(1697)〕
茶飯豆腐汁煮豆などをそえて出した一膳飯。江戸では、明暦の大火後、浅草の浅草寺門前にこれを売る店ができたのが最初で、料理茶屋の祖となった。〔物類称呼(1775)〕

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デジタル大辞泉 「奈良茶飯」の意味・読み・例文・類語

なら‐ちゃめし【奈良茶飯】

煮出した茶にいり大豆・小豆などを入れて塩味で炊いた柔らかい飯。奈良の東大寺興福寺で炊きはじめたところからいう。
茶飯に豆腐汁・煮豆などを添えた一膳飯いちぜんめし。江戸では明暦(1655~1658)のころ繁盛した。

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デジタル大辞泉プラス 「奈良茶飯」の解説

奈良茶飯

炒った大豆と米を煮出した茶で炊いた、柔らかい炊き込みご飯。その昔、東大寺・興福寺で寺領から納められる上茶を煎じ、二番茶に塩を加えて炊いた米を、一番茶に浸けて食べたのが起源とされる。もとは僧坊献立だったが、江戸時代庶民の間に広まった。

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日本の郷土料理がわかる辞典 「奈良茶飯」の解説

ならちゃめし【奈良茶飯】


茶飯。⇒茶飯

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世界大百科事典(旧版)内の奈良茶飯の言及

【外食】より

…発生的にもこの方が古く,室町末期までには旅中の食事である旅籠(はたご)を提供する店の意の旅籠屋の語が定着していた。これに対し,楽しみのための外食は1656年の明暦大火後の江戸で,浅草金竜山(待乳(まつち)山)に奈良茶飯の店ができ,珍しがった市民たちが,われもわれもと詰めかけたことあたりを古い例とする。日本人の外食風習はこのようにして始まり,江戸時代以降都市人口,旅行人口の増大にともなって拡大した。…

【茶飯】より

…緑茶を使って炊いた飯。東大寺,興福寺の僧坊に始まるといい,奈良茶飯,奈良茶粥,略して奈良茶とも呼ばれた。《本朝食鑑》(1697)は良質の煎茶の初煎,二煎をとり,塩を少し加えて飯を炊くとしている。…

※「奈良茶飯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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