改訂新版 世界大百科事典 「三外往生記」の意味・わかりやすい解説
三外往生記 (さんげおうじょうき)
蓮禅撰。慶滋保胤(よししげのやすたね),大江匡房,三善為康の往生伝の遺漏を補い,新たに著者の伝聞を加えて編纂した漢文体の往生者の伝記。成立年代は不明だが,1139年(保延5)正月没の良範伝以後である。1220年(承久2)に本書を書写した慶政が《拾遺往生伝》と重複する5人を削除したものが流布し,51人の僧尼・俗人男女の伝からなる。《拾遺往生伝》《後拾遺往生伝》と重複する伝が8例あるが,これは本書の編纂と時期的に平行していたため,または本書が未定稿のためとも考えられている。往生者中叡山関係者が多く,とくに持経者が記されるのは,《二十五三昧結縁過去帳》《法華験記》を素材としたことによっている。
→往生伝
執筆者:西口 順子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報