三好郡(読み)みよしぐん

日本歴史地名大系 「三好郡」の解説

三好郡
みよしぐん

面積:八四四・一九平方キロ(境界未定)
東祖谷山ひがしいややま村・西祖谷山にしいややま村・三加茂みかも町・三野みの町・三好みよし町・井川いかわ町・池田いけだ町・山城やましろ

吉野川の上・中流域を占める。三芳・三吉などとも記された。近世の三好郡は阿波国の西端に位置し、東は美馬みま郡、北は讃岐国那珂なか郡・三野郡・豊田とよた郡、西は伊予国宇摩うま郡、南は土佐国長岡ながおか郡・香美かみ郡に接した。昭和二五年(一九五〇)美馬郡の一部、すなわち現東祖谷山村・西祖谷山村が三好郡に編入され、現郡域は東は美馬郡美馬町・半田はんだ町・一宇いちう村、那賀なか木沢きさわ村・木頭きとう村、北は香川県仲多度なかたど郡・三豊みとよ郡・観音寺市、西は愛媛県川之江市・宇摩郡、南は高知県長岡郡・香美郡と接する。讃岐・伊予・土佐との国境に接し、四国の交通の要衝とされてきた。郡面積の八〇パーセント以上が山地で、北部に讃岐山脈、南部に四国山地がある。南東端のつるぎ(一九五四・七メートル)は県下最高峰で、北に丸笹まるざさ(一七一一・六メートル)、その西に塔丸とうのまる(一七一三メートル)、その北西に矢筈やはず(一八四八・五メートル)など、剣山の西方にはさん(「みうね」とも、一八九三・四メートル)天狗てんぐ(一八一二メートル)などいずれも標高一七〇〇メートル以上の山岳が連なる。吉野川は四国山地を北流して横切り、大歩危おおぼけ小歩危こぼけとよばれる典型的なV字谷を形成、左岸に伊予いよ(銅山川)、右岸に祖谷いや川などを合せて池田町の中心部付近で東に折れ、以後東流する。

〔原始〕

現郡域には二五〇ヵ所以上の遺跡が知られている。そのほとんどが吉野川沿いの沖積地・扇状地・河岸段丘上に分布する。吉野川南岸の四国山地内には遺跡が少ないが、これは十分な分布調査が実施されていないためと考えられる。旧石器時代の遺跡は河岸段丘上や山腹に立地する。三好町土取つちとり遺跡からはサヌカイト製の横剥ぎナイフ形石器、宮田山型ナイフ形石器や剥片、三加茂町丹田たんだ遺跡からは国府型ナイフ形石器が、三野町東上野ひがしうえの遺跡では小型のナイフ形石器が出土している。ほかに池田町洞草ほらくさ遺跡・新山しんやまA遺跡・久保西くぼにしA遺跡などが分布する。井川町猿滝さるたきからもナイフ形石器が表採された。縄文時代には遺跡数も増え、吉野川沿いの沖積地にも分布する。三加茂加茂谷川岩陰かもだにがわいわかげ遺跡群では早期の複合山形文土器・楕円形押型文土器、前期の爪形文土器や中期から後期にかけての土器が出土し、縄文土器の編年を考察するうえで重要である。貝類や獣骨が出土していることから、季節的なベースキャンプとして利用されていたことをうかがわせる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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