四国山地(読み)シコクサンチ

デジタル大辞泉 「四国山地」の意味・読み・例文・類語

しこく‐さんち【四国山地】

四国の中央部を東西に走する山地。石鎚いしづち山脈つるぎ山地などからなり、山容は急峻きゅうしゅんで、多雨の太平洋側と少雨の瀬戸内海側とに分ける。

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精選版 日本国語大辞典 「四国山地」の意味・読み・例文・類語

しこく‐さんち【四国山地】

  1. 四国地方の中央部を東西に走る山地。長さ約二五〇キロメートル。石鎚(いしづち)山脈、剣(つるぎ)山地などから成り、最高峰石鎚山(一九八二メートル)。東は紀伊山地、西は九州山地連なり中央構造線の南側に沿う。

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日本歴史地名大系 「四国山地」の解説

四国山地
しこくさんち

南四国を構成する山地の総称で東西約二〇〇キロに及び、全体として堆積岩変成岩からなる。紀伊山地や九州山地と同様に、南西日本の地質構造を二分する中央構造線以南の外帯山地の一部をなしている。山地内部はつるぎ山地・海部かいふ山地(徳島県)阿土あど山地(徳島県・高知県)石鎚いしづち山脈・中予ちゆうよ山地・笠取鳥形かさとりとりがた山地(愛媛県)南予幡多なんよはた山地(愛媛県・高知県)などに区分することができる。最高峰は愛媛県石鎚山の標高一九八二メートルで、剣山の一九五四・七メートルがこれに次ぎ、一五〇〇―二〇〇〇メートル級の壮年期の山々が屏風を立てたように東西方向に連なる。これは四国山地を形成する地質構造が北から三波川帯(結晶片岩)、秩父帯(古生層・中生層)、四万十帯(中生層)と帯状に延び、それらの間を中央構造線、御荷鉾構造線、仏像構造線が東西方向に走っているためである。吉野川・那賀なか川、愛媛県ひじ川、高知県仁淀によど川・物部ものべ川をはじめとして、四国の主要河川はこうした構造線に沿って流れている。これらの外帯河川は海洋プレートの運動に伴う四国島の複雑な地殻変動の結果、河川の下方浸食が強まり深い峡谷を刻む穿入・蛇行を繰返している。

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改訂新版 世界大百科事典 「四国山地」の意味・わかりやすい解説

四国山地 (しこくさんち)

四国の中央部をほぼ東西に走る山地。一般には中央構造線以南の外帯山地をさし,石鎚(いしづち)山脈,剣(つるぎ)山地を脊梁とし,標高1000mをこえる山地が大部分を占めている。東端は紀伊水道,西端は豊後水道に臨み,それぞれリアス海岸を形成している。中央構造線に平行して南に御荷鉾(みかぶ)構造線,仏像構造線が東西に走り,地質は北から順に結晶片岩からなる三波川(さんばがわ)帯,おもに古生層からなり中生層が部分的にみられる秩父帯,中生層からなる四万十(しまんと)帯が東西方向に帯状に分布している。石鎚山脈は四国山地北部を占め,北斜面は中央構造線を境に瀬戸内海または海沿いの平野に接し,急傾斜で断層崖をつくるところが多い。南は御荷鉾構造線で限られる。主峰の石鎚山(1982m)は近畿以西の最高峰でもあり,険阻な山容をもつ信仰の山としても知られる。東方には瓶ヶ森(かめがもり)(1896m),笹ヶ峰(1859m)などの高山が連なる。四国山地東部を占める剣山地は,四国第2の高峰で,おだやかな山容をもち石鎚山と対比される信仰の山剣山(1955m)を主峰とし,一ノ森(1879m),三嶺(1893m)などからなる。四国山地南西部には古生代石灰岩を基盤としたカルスト隆起準平原の大野ヶ原がある。

 四国山地は複雑な曲隆運動によって生じた急峻な山地で,河川の下刻作用が著しく,吉野川の大歩危(おおぼけ)・小歩危(こぼけ)や,支流の祖谷(いや)川の祖谷渓,仁淀(によど)川支流の面河(おもご)川の面河渓など深い先行谷が刻まれている。このため,北四国と南四国を結ぶ交通の大きな障害となってきた。とりわけ高知県側は1935年に土讃(どさん)本線が山地を横断して開通するまでは陸上交通に恵まれなかった。また,気候への影響も大きく,南四国の太平洋岸が日本有数の温暖多雨地域であるのに対し,四国山地の北部にあたる瀬戸内海沿岸は少雨地域となっている。石鎚山脈および剣山地は山岳美・渓谷美にすぐれ,それぞれ国定公園に指定されている。
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百科事典マイペディア 「四国山地」の意味・わかりやすい解説

四国山地【しこくさんち】

四国の大部分を占める山地。地質構造上,中央構造線の南部ほぼ全域に当たり,北から変成岩,古生層,中生層が帯状分布をなす。石鎚山脈,剣山地,久万高原などを含み,大歩危(おおぼけ)・小歩危面河(おもご)渓などの横谷,那賀川仁淀川肱(ひじ)川などには東西方向の構造谷が多い。
→関連項目石鎚山愛媛[県]高知[県]四国地方

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「四国山地」の意味・わかりやすい解説

四国山地
しこくさんち

四国の中央部を東西に250キロメートルにわたって走る山地。中央構造線の外帯を占め、最高は石鎚山(いしづちさん)(1982メートル)、ついで剣山(つるぎさん)(1955メートル)で、1000メートル以上の山が13ある。南側は四万十(しまんと)川、仁淀(によど)川、物部(ものべ)川、北東側は吉野川と勝浦川などの水源をなす。山地は仁淀川と吉野川によって三分され、中央主水界を石鎚山脈、東部を剣山地という。剣山地の南に並行して海部山地(かいふさんち)が走り、甚吉森(じんきちもり)(1423メートル)がある。それぞれの走向は地質構造と一致し、石鎚山脈の延長は三波川(さんばがわ)帯(結晶片岩)、剣山地は秩父(ちちぶ)帯(古生層)、海部山地は四万十帯(中生層)になる。四国山地は四国の脊梁(せきりょう)をなし、台風や南東の季節風の向風斜面となる太平洋側では年降水量3000ミリメートルの多雨地帯となるが、瀬戸内海側は背風斜面で、雨量は1000ミリメートル以下である。この降水量の不均等性は、南斜面に魚梁瀬(やなせ)、木頭(きとう)の林業地帯や電源開発地帯を形成し、反対に北斜面は溜池(ためいけ)地帯や山村畑作地帯を形成した。また急峻(きゅうしゅん)な地形は南北の交通を妨げ、峠交通が重要な要路となってきた。山地の開発は山岳武士(南北朝以来の土豪)などにより進められ、ソバ、アワ、コンニャクコウゾミツマタの栽培が行われ、現在も和紙や塗り物などの民芸品として伝承されている。

[高木秀樹]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四国山地」の意味・わかりやすい解説

四国山地
しこくさんち

四国の中央部を東西方向に延びる高峻な山地。中央構造線南部の外帯山地の一部で,東は紀伊半島,西は九州山地につながる。石鎚山 (1981m) -剣山 (1955m) が四国山地の主部で,石鎚山が最高峰。 2000m近くの山々が連なり,四国の分水嶺をなし,吉野川,那賀川,物部川,仁淀川,四万十川などの源流地となっている。変成岩,水成岩から成り,火成岩はあまりみられない。鉱物資源は別子と高越 (こうつ) の銅山があったが,閉山した。ほかには,石灰石がある。四国南北横断の交通の大きな障害となり,横断する国道 32,33号線は吉野川の大歩危・小歩危 (おおぼけ・こぼけ) と仁淀川の谷沿いを利用している。古くから仁淀川および肱川上流地域はコウゾミツマタの栽培が盛んであり,紙幣の用紙や一般の和紙が生産されてきた。また第2次世界大戦後,酪農を導入し,鬼北,内山,宇和,大洲などの盆地を中心に普及している。また,近年では四国横断自動車道など交通が発達し,全般的に観光収入が増大している。

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世界大百科事典(旧版)内の四国山地の言及

【高知[県]】より

…面積=7104.13km2(全国18位)人口(1995)=81万6704人(全国45位)人口密度(1995)=115人/km2(全国43位)市町村(1997.4)=9市25町19村県庁所在地=高知市(人口=32万1999人)県花=ヤマモモ 県木=魚梁瀬スギ 県鳥=ヤイロチョウ四国の南半部を占め,四国山地を境に愛媛・徳島両県に接し,太平洋に臨む県。室戸岬と足摺岬が弓形の土佐湾を抱き,県域は北東~南西方向に長い。…

※「四国山地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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