方形周溝墓(読み)ほうけいしゅうこうぼ

  • ほうけいしゅうこうぼ ハウケイシウコウボ
  • ほうけいしゅうこうぼ〔ハウケイシウコウ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

幅1~2m,深さ 1m前後の埋葬部分の周囲に方形にめぐらした弥生時代から古墳時代前期にわたり,東北地方から九州まで分布する。中央部にわずかな盛り土があるものもある。大きさは1辺が 20mぐらいから5~6mぐらいのものまであるが,普通は 10m内外。また溝が全周にめぐらされているもの,一部分を欠いているものなどその形状はさまざまである。溝の中にはしばしば供献の土器がみられ,また囲郭内の埋葬施設から若干の副葬品が発見されることもある。また,溝を円形にめぐらした円形周溝墓も確認されている。

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デジタル大辞泉の解説

周囲に方形の溝をめぐらせた盛り土の墓。日本では1辺10メートル前後のものが多い。弥生時代、数人から二十数人を葬った家族墓と、一人だけを葬ったものとがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

低い方形の墳丘の周囲に浅い溝をめぐらせた墓。弥生時代を中心に発達した。方形区画は1辺5~15mの正方形ないし長方形で,幅1m内外の溝を掘削した排土その他を内側に積んで低い墳丘を築いたが,後世の削平により墳丘を残さないものが多い。削平を免れた大阪府瓜生堂遺跡例では,盛土の高さは約1mあった。方形区画内にふつう1体から数体の埋葬を行うが,1基に十数体の例もある。埋葬様式は木棺を中心に土器棺,土壙墓を伴う。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

方形や長方形に墓の周囲を溝で区画し、その内部や溝中に埋葬をする家族(小集団)墓の一形式。弥生(やよい)時代前期末から古墳時代前期に、主として近畿地方以東で盛行した。墓域は、数基あるいはそれが数群で形成され、連結や規則的な配置を示すものが多い。墓の造営では、溝による平面区画に重点が置かれ、高さ1メートル前後の盛り土をもつものもあるが、墳丘構築を重視するのは後出的なものである。平面形態は、四隅の何か所か溝の一部を掘り残すことで、各種のバラエティーに富む。円形や前方後方状のものも含め、時期的、地域的な傾向をもつ墓域と、複数の形態が同一墓域を構成することもある。埋葬施設は、木棺直葬や土壙(どこう)を設け、壺棺(つぼかん)や甕棺(かめかん)も一部で小児用として使用する。副葬品は、大部分からは発見されないが、少数から玉類、鉄・銅製品が出土する。土器は、破砕(はさい)された葬送儀礼用や、穿孔(せんこう)(焼成前または後に施す)や一部を打ち欠いて儀器化した供献(くけん)用が出土する。

 方形周溝墓は、弥生時代前期末に近畿地方で発生して伊勢(いせ)湾岸へ及び、中期以降に急速に東方へ伝播(でんぱ)するが、西方への波及は少ない。しかし古墳時代前期には、東北地方から南九州地方までの汎(はん)日本的分布を示す。

 類似の墓制に方形台状墓があり、丘陵上で溝による区画よりも、地形整形で立体的に構築するものである。弥生時代前期に発生し、中期以降に中国地方を中心に盛行する。

[鈴木敏弘]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 方形に溝をめぐらして墓域とし、域内に設けた竪穴に埋葬する、彌生・古墳時代前期の墓制。畿内に出現し、全国に波及した。

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

弥生時代後期〜古墳時代前期につくられた墓制の一種
溝を方形にめぐらし,中央部に土壙を掘って遺体を埋葬した。鏡・太刀・玉などの副葬品を伴うもの,遺体も数体あったり,壺棺にいれたものもある。1964年東京都八王子市の宇津木遺跡で最初に確認されて以来,各地で発見された。一般の共同体成員の墓とは区別され,古墳に一歩近づいた墓制で,古墳との関係が問題にされている。

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世界大百科事典内の方形周溝墓の言及

【墳墓】より

…素掘りの長方形の穴に板石数枚で蓋をした〈石蓋土壙〉も九州北部を中心に,前期から長い期間つくられる。 九州北部,近畿地方では前期から大きな板を組み合わせた木棺が用いられ,近畿地方ではこの風習は後述する方形周溝墓の主体に用いられて中期まで行われる。近畿地方で前期からつくられる方形周溝墓は,平面方形ないし長方形(1辺10m内外)の盛土(高さ1m前後)の周囲に溝をめぐらし,盛土上に木棺墓,土壙墓,壺棺墓などを設けたものであって,東海地方で中期,関東地方で中期末,九州では古墳時代初期につくられる。…

【弥生文化】より

…なお西北九州から北部九州にかけては,弥生時代前半に石を組んで墓の標識とする支石墓が発達した。東九州(宮崎県)では,弥生時代の終り近くに後述する方形周溝墓が出現した。これは古墳時代に福岡・熊本県下に及んでいる。…

※「方形周溝墓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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