三寸の舌(読み)さんずんのした

精選版 日本国語大辞典 「三寸の舌」の意味・読み・例文・類語

さんずん【三寸】 の=舌(した)[=舌端(ぜったん)

  1. ( たいした長さではない舌の意から ) 口さき。弁舌
    1. [初出の実例]「三寸舌端駟不及、不顔疵名疵」(出典菅家文草(900頃)二・有所思)
    2. 「三すんの舌のさえづりをもって、五尺の身を損じ候も」(出典:仮名草子・伊曾保物語(1639頃)上)
    3. [その他の文献]〔史記‐淮陰侯伝〕

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故事成語を知る辞典 「三寸の舌」の解説

三寸の舌

たくみな弁舌のたとえ。

[使用例] 猫と生れた因果で寒月、迷亭、しゃ諸先生と三寸の舌頭に相互の思想を交換するりょうはないが、猫だけに忍びの術は諸先生より達者である[夏目漱石吾輩は猫である|1905~06]

[由来] 「史記わいいんこう伝」に見える話から。紀元前三世紀の終わりごろ、漢のりゅうほうこうとが覇権を懸けて争っていた時代。劉邦部下れきは、弁舌たくみにせいという国をまるごと味方に引き入れてしまいました。そのことを、ある人物は「三寸の舌をふるいて斉の七十余城を下す(一〇センチにも足りない舌を勢いよく動かしただけで、斉の国の七〇余りもの町を降参させた)」と評したということです。

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