三章書論争(読み)さんしょうしょろんそう(英語表記)Three chapters controversy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三章書論争」の意味・わかりやすい解説

三章書論争
さんしょうしょろんそう
Three chapters controversy

6世紀に行われたキリスト教の神学論争。三章書とはモプスエスティアのテオドロスの人物と著作,キュロスのテオドレトスによるアレクサンドリアキュリロスに対する反駁の著作,およびエデッサのイバスによるテオドロス称賛の手紙をさし,これら3つの主題は皇帝ユスチニアヌス1世の 543~544年の教書のなかで取上げられて断罪された。皇帝の意図はアレクサンドリアの単性説派との和解にあり,三章書はネストリウス派の傾向に染まっているという理由による。皇帝は 553年,主として東方教会の司教を集めて第2コンスタンチノープル公会議を開き,三章書の断罪を確認させたが,この間教皇ウィギリウスは断罪反対と賛成の間で態度が動揺し,カルケドン公会議 (451) の線に沿って三章書を支持する西方教会の失望と怒りを買った。三章書をめぐる皇帝,教皇間の確執は教会内部の亀裂を増大させ,単意説異端の台頭を招くとともに,首尾一貫しない教皇の態度と公会議決定への不満から,西方においてミラノ,アクィレイアの両教会はそれぞれ6,7世紀の終りまでローマ教会から離れる結果をもたらした。 (→キリスト単意説 , キリスト単性説 )

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