下恩方村(読み)しもおんがたむら

日本歴史地名大系 「下恩方村」の解説

下恩方村
しもおんがたむら

[現在地名]八王子市下恩方町

北浅きたあさ川の中流域と小津おつ川・山入やまいり川の下流域に立地。北浅川沿いに案下あんげ(現陣馬街道)が通る。西は上恩方村。「風土記稿」に東の方は開けた平地南北は北に沿い、民家は多く浅川に辺して住せりとある。地内の下原したはらは武蔵守護代の系譜を引く大石氏の拠点の一つ浄福寺じようふくじ城に隣接し、大石氏とその名跡を継いだ北条氏照の庇護を受けた下原鍛冶とよばれる山本姓を名乗る一群の刀工集団の居住地である。大永年間(一五二一―二八)に初代周重が大石綱周の保護を受けて下原で作刀したのが始まりとされる。のち北条氏の保護を受け、北条氏の当主氏康の一字を与えられた康重や、その弟で八王子の領主北条氏照の一字を与えられた照重などが活躍した。さらにその子孫元八王子もとはちおうじ一帯に分家し、江戸時代を通じて作刀にあたっている。現存する下原鍛冶の作品は数多く、天正年間(一五七三―九二)の刀に「武州下原住康重」の銘を刻むものがある(福生市郷土資料室編「特別展武州下原刀展」図録)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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