不断念仏(読み)フダンネンブツ

デジタル大辞泉 「不断念仏」の意味・読み・例文・類語

ふだん‐ねんぶつ【不断念仏】

特定日時を決めて、その間、昼夜間断なく念仏を唱えること。常念仏不断の念仏。

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精選版 日本国語大辞典 「不断念仏」の意味・読み・例文・類語

ふだん‐ねんぶつ【不断念仏】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。あるきまった日時に、あるいは昼夜間断なく念仏を唱えること。常行三昧に基づき、比叡山におこったもの。古くは七日と定め、時に九〇日間にわたった例もあるが、ほぼ三日にわたるのが恒例。常念仏。不断の念仏。
    1. [初出の実例]「先命終之期。欲三七日不断念仏、其結願之日、我入滅之時也」(出典日本往生極楽記(983‐987頃)延昌)

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世界大百科事典(旧版)内の不断念仏の言及

【延暦寺】より

…古来,山僧の多くは山上に住まず,東西坂本および洛中に里坊(さとぼう)を有したが,今では主として東坂本(大津市坂本)に集住し,ここには最澄生誕地と伝える生源寺,座主の住坊である滋賀院門跡をはじめ多くの住院がある。
[法会]
 《三宝絵詞》(984年源為憲撰)には,叡山で行われる毎年の法会として,1,4,7,10月に各21日間ずつ行う懺法(せんぼう)(812年最澄始修),3月と9月の15日に行う勧学会(964年始修,山僧20人と大学寮学生20人が坂本の寺に会し,朝は法華経を講じ,夕は念仏を行い,終夜,讃仏の詩文を作る),4月の花の盛りに行う舎利会(860年円仁始修),4月15日以前に行う授戒会(823年始),6月4日,最澄の忌日に行う六月会(みなづきえ),8月11日から17日まで行う不断念仏(865年円仁始修),9月15日に行う灌頂(843年円仁始修),11月24日の天台大師忌に行う霜月会(798年最澄始修)を掲げる。このうち六月,霜月の両会はとくに重んじられ,5年に1度,好季を選んで両会同時に修し,これを法華大会という。…

【念仏】より

…平安時代初期に最澄の弟子円仁(えんにん)が,唐の法照(ほつしよう)がはじめた五会(ごえ)念仏の流れをくむ五台山念仏三昧法を比叡山に移し,常行三昧(じようぎようざんまい)を修したが,五会念仏は5種の音声からなる音楽的な称名念仏であった。常行三昧は不断念仏といわれ,各地に普及したが,比叡山の不断念仏は〈山の念仏〉として有名となった。これは8月11日から7日間,常行堂内で阿弥陀仏のまわりを行道(ぎようどう)しつつ,念仏とともに《阿弥陀経》を誦し,つねに想いを阿弥陀仏に懸けることによって,罪障を除滅しようとする法会であった。…

【不断経】より

…一定の期間を定めて,昼夜間断なく経典を読むこと。不断念仏にならったもので,不断念仏が亡者の往生のためにおこなわれることが多いのに対して,不断経は浄土経以外の宗派で死者の減罪と成仏のためにおこなわれる。したがって《法華経》を不断に読むことがもっとも多く,御伽草子《梵天国》には〈法花三昧の不断経を三年読せて参らすべし〉などとある。…

※「不断念仏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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