常行三昧(読み)ジョウギョウザンマイ

デジタル大辞泉 「常行三昧」の意味・読み・例文・類語

じょうぎょう‐ざんまい〔ジヤウギヤウ‐〕【常行三昧】

天台宗で、四種三昧の一。90日間を1期とし、堂内に安置された阿弥陀仏のまわりを常に歩行し、その仏名を唱え、心に仏を念ずる行法般舟三昧仏立三昧

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精選版 日本国語大辞典 「常行三昧」の意味・読み・例文・類語

じょうぎょう‐さんまいジャウギャウ‥【常行三昧】

  1. 〘 名詞 〙 仏語摩訶止観の四種三昧(ししゅさんまい)の一つ。天台宗で、九〇日間を一期として、その間、飲食大小便乞食などのほかは堂内にあって、常に阿彌陀仏の像のまわりを歩きつつ、その名を唱え心に彌陀を念ずる三昧。常行
    1. [初出の実例]「四種三昧の中には常行三昧となづく」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
    2. 「常行三昧(じゃうぎゃうさんマイ)念仏の音」(出典太平記(14C後)二四)
    3. [その他の文献]〔摩訶止観‐二上〕

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改訂新版 世界大百科事典 「常行三昧」の意味・わかりやすい解説

常行三昧 (じょうぎょうざんまい)

つねに行道(ぎようどう)して修行する三昧(さんまい)という意。四種三昧の一つ。三昧とは心を不動にして宗教的瞑想境地を深めること。四種三昧とはそのために行う常坐三昧,常行三昧,半行半坐三昧,非行非坐三昧のこと。常行三昧は元来,《般舟三昧経(はんじゆざんまいきよう)》によったもので,おおむね5間(約9m)四方の常行三昧堂常行堂)に阿弥陀仏を本尊として安置し,90日間にわって口に阿弥陀仏の名を唱えながら,そのまわりを歩きつづけて,つねに仏を念じ,心に極楽浄土や仏の三十二相などを浮かべる修行である。阿弥陀仏の名を唱えることと念ずることを交互に行うことはあっても,行道しつづけるところに特色があり,現在,比叡山延暦寺などで行われている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「常行三昧」の意味・わかりやすい解説

常行三昧
じょうぎょうざんまい

仏教用語。中国天台宗の智 顗以来始められた修行。四種三昧の一つ。7日ないし 90日を期限として行われ,阿弥陀仏の像のまわりを歩きながら,その名を称えて阿弥陀仏を念じる三昧修行。

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世界大百科事典(旧版)内の常行三昧の言及

【念仏】より

…智光曼荼羅,当麻(たいま)曼荼羅などがそれである。平安時代初期に最澄の弟子円仁(えんにん)が,唐の法照(ほつしよう)がはじめた五会(ごえ)念仏の流れをくむ五台山念仏三昧法を比叡山に移し,常行三昧(じようぎようざんまい)を修したが,五会念仏は5種の音声からなる音楽的な称名念仏であった。常行三昧は不断念仏といわれ,各地に普及したが,比叡山の不断念仏は〈山の念仏〉として有名となった。…

【例時作法】より

…常用の〈例時作法〉はその中間の形であるが,自行(じぎよう)から出発した法要であるために,各自の行の統一者の意味で導師を調声(ちようせい)と称する。なお,現在では自行でない寺事(てらごと)としての〈例時作法〉は,〈常行三昧(じようぎようざんまい)〉と称することが多い。【横道 万里雄】。…

※「常行三昧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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