大きな火災被害が予想される木造密集住宅地域の解消を目ざし、火災に強い町づくりを財政・税制面で支援する特別区域。正式名称は「不燃化推進特定整備地区」。東京都が整備を進めている。
東京都内ではJR山手線外周部などに木造住宅密集地域が合計約1万6000ヘクタール広がっており、耐火建物や空き地などの不燃領域率が約60%にとどまっている。このため首都直下地震では、最悪の場合、30万戸以上が全壊・焼失すると推計されている。東京都は2012年(平成24)8月に、墨田、品川、大田、目黒、江戸川など都内11区の12地域を初めて不燃化特区に指定した。2015年までに不燃化特区を50地区程度に拡大する計画である。さらに、不燃化特区を中心とした「木密(もくみつ)地域不燃化10年プロジェクト」を進め、夏季オリンピックが東京で開催される2020年までに、延焼の危険性がほぼゼロとされる70%まで不燃領域率を引き上げる計画である。
不燃化特区は区が申請し、それに基づいて東京都が指定する。不燃化特区における東京都の優遇措置は以下のとおりである。特区内では木造住宅への建て替えを禁止し、鉄筋構造住宅への建て替えには補助金を出す。老朽化建物の撤去費を全額補助するほか、耐火・準耐火住宅などの設計費も補助対象とする。耐火・準耐火住宅に建て替えれば、固定資産税や都市計画税を5年間全額免除する。老朽化住宅を壊して空き地にした場合にも、固定資産税の減免措置を設ける。土地権利関係が複雑な地区が多いため、建築士、弁護士、税理士、まちづくりコンサルタントら専門家の相談所を地区内に設置する費用も補助する。
従来、木造住宅密集地域の解消は基本的に住民任せだったため遅々として進まなかったが、不燃化特区では、区が拡幅道路や共同住宅の整備計画を策定して、これを基に住民に働きかけるという点に特徴がある。
[編集部]
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