市街地のなかで、狭い敷地の木造住宅が高密度に建て込んでいる地域。「木密(もくみつ)地域」「木密」ともよばれる。公園や幅6メートル以上の道路などの空間が少なく、道路が狭く入り組んでおり、多くの老朽化住宅があるため、火災時の延焼、地震時の建物倒壊、緊急車両の進入困難などで被害が増大する恐れがある地域である。1995年(平成7)の阪神・淡路大震災では神戸市兵庫区や長田区などの木造住宅密集地域で多数の死傷者が出ており、予想されている首都直下地震では、最悪の場合、東京23区の木造住宅密集地域を中心に30万棟以上が全壊・焼失すると推定されている。東京、大阪、名古屋など全国の都市部に分布しており、その解消は大都市共通の都市整備問題となっている。
東京では関東大震災や第二次世界大戦の被害が少なかった地域に被災者が移り住み、高度成長期に無計画に建築物がつくられたことが木造住宅密集地域の生まれた原因とされ、JR山手線の外周部にドーナツ状に分布している。東京都は(1)全建造物に占める木造建物の棟数率が70%以上、(2)1975年(昭和50)以前の老朽化木造建物の棟数率が30%以上、(3)1ヘクタール当りの世帯数が55世帯以上、(4)空き地や耐火建築物の面積割合(不燃領域率)が60%未満、という条件を満たす地域を木造住宅密集地域と定めている。東京都の2006~2007年調査では、都内約1万6000ヘクタールが該当する。東京都は2010年(平成22)に、とくに建物倒壊や火災危険度の高い28地域7000ヘクタールを「整備地域」、そのなかでも11地域2400ヘクタールを「重点整備地域」に指定し、不燃化・防災都市づくりを急いでいる。2012年からは木造住宅密集地域を対象に「不燃化特区」を指定し、新たな財政支援や税制優遇などで密集地域の解消と防災力の高い町づくりを目ざしている。国土交通省も、2002年度から地震時の避難経路や緊急車両の進入路を確保する目的で、道路沿いの住宅に耐震改修費用を補助する「密集住宅市街地整備促進事業」を進めている。
[編集部]
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