並河 靖之(読み)ナミカワ ヤスユキ

20世紀日本人名事典 「並河 靖之」の解説

並河 靖之
ナミカワ ヤスユキ

明治・大正期の七宝作家



生年
弘化2年9月(1845年)

没年
昭和2(1927)年5月28日

出生地
京都・柳馬場(現・中京区)

旧姓(旧名)
高岡

経歴
川越藩士の三男として京都に生まれる。安政2年(1855年)青蓮院宮家の侍臣である並河靖全の養子となる。賀陽宮、伏見宮家に仕える傍ら、明治初期から尾張七宝桃井英升に師事して七宝技術を学び、当時京都に滞在していたドイツ人化学者・ワグネルの指導を受けて独自の技術を開発。3年頃、京都に七宝工場を設立。10年第1回内国勧業博覧会で受賞し、11年から製作に専念。黒色透明釉の発明や細微な植線技法による絵画的な文様、ぼかしの技法などを駆使して芸術的な作品を生み出し、東京で活躍した無線七宝濤川惣助と並び称され、“明治七宝界の双璧”と謳われた。29年帝室技芸員。27年に建てられた邸宅は、のちに国登録有形文化財に指定され、平成15年並河靖之七宝記念館が開館した。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報