定量分析の一種で、酸と塩基との中和反応を利用する滴定。塩基標準液(一般に水酸化ナトリウム)で酸を滴定する場合を酸滴定、酸標準液(塩酸、硫酸など)で塩基を滴定する場合をアルカリ滴定という。反応の終点を適当な手段で決め、このときまでに消費された標準液の容積から試料液中の酸あるいは塩基の量を算出する。滴定に使われる反応は、反応に関係する両物質の間に一定の関係があり、かつ定量的に反応することが必要である。両者の当量数が等しくなった点を当量点とよび、実験上で観察される反応の終了点を終点といい、両者ができるだけ一致するような条件を選んで滴定することがこの方法の重要な点である。とくに色変化を肉眼で観察し終点を決定する指示薬を使って終点を決める場合には、その指示薬の選定が重要である。
[高田健夫]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…いずれの場合も,微量でも変色がわかるように,染料あるいはその類縁化合物であることが多い。 ところで中和滴定における指示薬の変色を考えてみると,たとえば赤色から青緑色への変化は肉眼で鋭敏に識別できるが,赤色から黄色への変化はわかりにくい。一般に前者のように互いに補色の関係にある,色調に差のある色の間の変化が最もわかりやすい。…
…一般に滴定法が可能となるためには,当量点においてなんらかの量が急変することが条件となる。上では沈殿滴定の例をみてきたが,酸と塩基の反応を利用する中和滴定ではプロトンの濃度(pH),酸化還元滴定では電子を授受する化学種の濃度(電位に関係),キレート滴定では金属イオンまたはそれと錯体をつくる化合物(配位子)の濃度などが大きく変わる。それに伴う測定物理量から分類すると,電位差滴定,光度滴定,伝導度滴定,温度滴定,電流滴定などがある。…
※「中和滴定」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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