測容器により体積を測定し,物質の量を求める方法。気体の体積を測定する場合もあるが,多くの場合は滴定と同じ意味に用いられている。滴定法は1855年ころにモールKarl Friedrich Mohr(1806-79)により系統化された。中和滴定,沈殿滴定,酸化・還元滴定,錯滴定などがある。1946年ころにシュワルツェンバハGerold Schwarzenbach(1904-78)によりキレート滴定法が開発されて金属イオンの定量が可能になり,広く応用面が開かれた。容量分析では,濃度が定められている標準溶液を用いて,定量すべき化学種を含む溶液の一定量にこの標準溶液を加え,反応の完了した当量点を適当な方法で判定して,反応に要した標準溶液の体積から目的の化学種の量を定める。反応速度の遅い反応を利用する場合には逆滴定back titrationを利用する。当量点の判定には通常指示薬を用いて肉眼的に判定する。滴定の終点と理論的当量点は一致しないが,誤差の範囲で一致させることができる。終点の判定に光の吸収,電気伝導度,熱などを利用することもできる。滴定に用いられる測容器にはホールピペット,メスフラスコ,ビュレットなどがあり,精度の同じ測容器を組み合わせて利用する。精度を要するときには,試薬のみで試料を含まない操作を行う。これを空試験blank testといい,これにより実験値を補正する。微量分析用には対応する装置がある。
執筆者:綿抜 邦彦
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定量分析の一種で、物質の体積を測定することによって定量を行う方法の総称である。溶液の反応体積を測定する滴定法と、ガスの体積を測定するガス容量分析法が含まれるが、一般には滴定法だけを容量分析ということが多い。滴定法は、試料溶液の一定体積中に存在する求める物質の全量を、それと定量的に反応するのに必要な既知濃度の標準液の体積を測定して知る方法である。未知試料を標準液で直接滴定する方法を直接滴定、未知試料に一定過剰量の標準液を加え、その過剰量を別の標準液で滴定する方法を逆滴定という。反応の終点は指示薬や電気化学的、光学的方法によって求める。滴定に使われる測容器であるメスフラスコ、ビュレット、ピペットなどは正確に検度されたものでなければならない。
ガス容量分析法は、固体または液体試料にそれと反応する適当な試薬を加え、化学反応によって生成するガスの体積を測定して試料中の成分を定量する方法である。
容量分析は操作が簡単で、精度も高く、化学量論に基礎を置くもう一つの定量法である重量分析法とともに広く用いられている方法である。
[高田健夫]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
一般に,求める成分と化学反応する標準液を用いて滴定し,その成分と標準液の体積から,求める成分を定量する化学分析.取り扱う化学反応,標準液の種類により,酸塩基滴定,酸化還元滴定,キレート滴定,沈殿滴定,過マンガン酸塩滴定などに分類される.当量点の決定には,一般に指示薬が用いられるが,電気的な終点決定法も用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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