朝日日本歴史人物事典 「中山新九郎」の解説
中山新九郎(初代)
生年:元禄15(1702)
江戸中期の歌舞伎役者。中山系の祖。俳名一蝶。初代姉川新四郎に入門し,中山新九郎の名で享保8(1723)年冬大坂松島座に登場。大柄な立役で声がよく,荒事がかった芸風が大坂に合い,16年間連続出演,のちに京,江戸の芝居にも出た。多方面の芸をこなし,「道成寺」の鐘入り荒事の所作,「三好長慶廓総角」の三好長慶の実悪,「双蝶々曲輪日記」の濡髪長五郎の力士・男伊達などで大当たりをとる。43歳の秋,旧師姉川新四郎からその当たり芸黒船忠右衛門の「黒船頭巾」と草履下駄を譲られ,大坂風男伊達の芸統を継いだ。愁い事,実悪の名人であった。安永1(1772)年9月,大坂角の芝居で,初舞台より50年を機に一世一代を勤めて引退した。新九郎の名跡は天保期までに4代を数えたのち途絶えた。<参考文献>『一蝶邯鄲枕』(『上方役者一代記集』上方芸文叢刊8巻)
(青木繁)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報