国指定史跡ガイド 「丹生都比売神社境内」の解説
にゅうつひめじんじゃけいだい【丹生都比売神社境内】
和歌山県伊都(いと)郡かつらぎ町上天野にある神社。神社では「にうつひめ」と読む。和歌山県の北部、紀ノ川から紀伊山地に入った標高450mの天野盆地にあり、高野山に登る中腹に位置している。創建の年代は不詳であるが、819年(弘仁10)の空海による高野山金剛峯寺開創にあたって、周辺地域の地主神である丹生都比売神が、その神領を空海に譲ったという伝承がある。辰砂(しんしゃ)(朱砂)の鉱脈のことを丹生といい、辰砂を採掘する一族が祀る神とも考えられ、金剛峯寺開創後は鎮守として崇敬された。神社の本殿は春日造りの4棟であり、楼門などとともに重要文化財に指定され、平安時代末期の作とされる銀銅蛭巻太刀拵(ひるまきたちこしらえ)は国宝である。古絵図などによれば、境内には多宝塔・御影堂・鐘楼などの建物があったが、神仏分離により仏教堂宇は撤去され、神道関係施設だけが残る。しかし、神仏習合の遺構を良好に残し、密教と地主神との関係を考えるうえで重要な遺跡として、2002年(平成14)に国の史跡に指定され、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録された。JR和歌山線妙寺(みょうじ)駅から車で約20分。
にうつひめじんじゃけいだい【丹生都比売神社境内】
⇒丹生都比売神社境内(にゅうつひめじんじゃけいだい)