久畑市場村(読み)くばたいちばむら

日本歴史地名大系 「久畑市場村」の解説

久畑市場村
くばたいちばむら

[現在地名]但東町久畑くばた

佐田さだ村の南、出石川の流域にあり、出石・福知山道の宿場町として繁栄した。佐田村から南下してきた同道は当地で東に折れて薬王寺やくおうじ川沿いに進み、薬王寺村・大河内おおこうち村を経て登尾のぼりお峠を越え、丹波国天田あまた上佐々木かみささき(現京都府福知山市)に至った。また出石川沿いにそのまま南下を続け、小坂こざこ村を経て小坂峠を越え、同郡直見のうみ(現京都府夜久野町)に至る道や、薬王寺村で出石・福知山道から分れ、神懸かんがけ峠越で同郡雲原くもばら(現福知山市)に至る道もあり、交通の要衝にあたる当地には出石藩関所も設置されていた。なお小坂峠―当地―神懸峠とつなぐ道は、西国三十三所二七番の播磨国書写山円教えんぎよう(現姫路市)から同二八番の丹後国成相なりあい(現京都府宮津市)へと向かう観音霊場巡りの道でもあった。永禄九年(一五六六)九月に没した夜久重聴の六月一〇日付の八木殿宛書状草案(夜久文書)に「能美殿久畑ヘ御越之由候」とみえ、年未詳六月六日付の立脇左衛門・新左衛門宛山城性重書状(同文書)にも、宛先両人が「久畑へ御越之由承候」とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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