久野郷(読み)くのごう

日本歴史地名大系 「久野郷」の解説

久野郷
くのごう

宇刈うがり丘陵の南西端部、宇刈川の中―下流域、現久能くのう鷲巣わしず付近に比定される中世の郷。「法然上人絵伝」巻二〇に法然の弟子として熊野山に四八ヵ度参詣したという山伏、「遠江国久野の作仏房」がみえる。貞治元年(一三六二)頃とみられる一〇月一九日の西園寺実俊施行状(熊野速玉神社文書)に添付された遠江国国衙領目録に「久野郷 七十四石七斗二合」とみえる。乾元二年(一三〇三)閏四月二二日の朝賢置文(中尊寺経蔵文書)によれば、弘安年中(一二七八―八八)に奥州平泉中尊ちゆうそん寺の経蔵別当職を朝賢の弟子「遠江国久野四郎兵衛入道子息乙増丸」に譲り、藤原清衡安堵状や代々の師資相承次第証文等を預け置いたが、乙増丸は還俗してしまったため、別当職を召返している。


久野郷
くのごう

現大東町南端の上久野・下久野一帯に比定される。建長元年(一二四九)六月日の杵築大社造営所注進状(北島家文書)に「久野郷」とみえ、宝治二年(一二四八)一〇月二七日の遷宮の翌日に行われた神事のうち流鏑馬を先例どおり勤めている。文永八年(一二七一)一一月日の杵築大社三月会相撲舞頭役結番帳においても三月会の舞頭役を二〇年に一度一二番目に課せられており、面積は四丁三反半で、中郡太郎六郎が地頭であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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