乗合(読み)のりあい

精選版 日本国語大辞典 「乗合」の意味・読み・例文・類語

のり‐あい ‥あひ【乗合】

〘名〙
乗物に乗ったままで出会うこと。特に、貴人の行列に乗物に乗ったまま出会うこと。
今昔(1120頃か)一七「国の内の貴賤僧俗、皆、国司に可随き者也。而るに、汝、何に依て、我に乗合をして无礼を至せるぞと嗔(いかり)て」
② 同じ乗物にともに乗ること。また、その人。
日葡辞書(1603‐04)「Noriaino(ノリアイノ) ヒト」
仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)三「舟賃は、一艘の借切百三十文、〈略〉乗合は一人は四銭」
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第三八「内証を聞たし風の吹やうに 船頭かなさけ乗合の上」
④ 一艘の漁船に何人かが乗って、各人が釣漁をすること。遊漁の場合に多く見られるが、一般の漁夫のあいだでも、船主に漁獲の一定割合を船代(ふなしろ)としておさめることによって、この形態が行なわれた。

のり‐あわ・す ‥あはす【乗合】

[1] 〘自サ五(四)〙 一つの乗物にともに乗る。たまたま他の人と同じ乗物に乗る。のりあう。のりあわせる。
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一三「乗合(ノリアハ)したる数十人は、皆水の中にただよひたり」
[2] 〘自サ下二〙 ⇒のりあわせる(乗合)

のり‐あ・う ‥あふ【乗合】

〘自ハ四〙 (「のりやう」とも) 船や車など一つの乗物に大勢が同時に乗る。いっしょに一つの乗物に乗る。同乗する。
※日葡辞書(1603‐04)「Noriyǒta(ノリヤウタ) モノ」
※仮名草子・可笑記(1642)一「浄土の万随意上人と、清見寺の衆寮僧と、駿州ふじかはの舟に乗りあひける時」

のり‐あわ・せる ‥あはせる【乗合】

〘自サ下一〙 のりあは・す 〘自サ下二〙 =のりあわす(乗合)
航米日録(1860)五「市街に雇車あり、一人前六セントの価にて、数人乗り合せ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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