歌舞伎舞踊。常磐津。本名題《魁香樹(かしらがき)いせ物語》。1843年(天保14)1月江戸市村座で12世市村羽左衛門,4世中村歌右衛門ほかにより初演。作詞3世桜田治助。作曲5世岸沢式佐。振付西川七郎次,西川巳之助(5世西川扇蔵),西川芳次郎,花川蝶十郎。初春の隅田川の渡し場で万歳,才蔵(造),白酒売,大工,通人,巫女,船頭が芸づくしの仕抜(しぬき)を踊る。初演は七福神の見立てだが,のちに多くの人物が登場。江戸風俗を描写した傑作。1866年(慶応2)4月江戸薩摩座の人形浄瑠璃《妹背山婦女庭訓》大切に,《乗合船恵方万歳(えほうまんざい)》の人形所作事が演じられ,明治にこの名題で復活上演された。
執筆者:西形 節子
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歌舞伎(かぶき)舞踊。常磐津(ときわず)。本名題(なだい)『魁香樹(かしらがき)いせ物語』。3世桜田治助(じすけ)作詞、5世岸沢式佐(きしざわしきさ)作曲、西川巳之助(みのすけ)・花川蝶十郎らの振付け。1843年(天保14)1月、江戸・市村座で12世市村羽左衛門(うざえもん)の万歳(まんざい)、4世中村歌右衛門(うたえもん)の才蔵らにより初演。初春の隅田川の渡し場で万歳・才蔵・白酒売(しろざけうり)・大工(だいく)・通人(つうじん)・巫女(みこ)・女船頭らが芸尽くしを踊るもので、とくに万歳・才蔵の洒脱(しゃだつ)で好色趣味豊かな振が眼目である。初演のときは富本(とみもと)・竹本・長唄(ながうた)との掛合いの曲だったが、のち常磐津だけになり、1896年(明治29)1月、東京・春木座以来、『乗合船恵方万歳(えほうまんざい)』の外題(げだい)が定着した。また、当初は登場人物7人で七福神に見立てる趣向だったが、その後ほかに門礼者(かどれいしゃ)・芸者・子守・田舎侍(いなかざむらい)などを適宜に配して上演することが多い。
[松井俊諭]
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… また,水運は物資輸送が中心であったが,同時に旅人も運んだ。最初は荷物に付随して来る荷主・宰領が主であったが,そのうち一般旅人も乗船するようになり,旅人専用の乗合船も生まれた。淀川の三十石船,利根川の境,関宿船などがそれである。…
※「乗合船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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