〈ゆうりょう〉と読むこともできるが,一般に〈ゆうぎょ〉という。遊漁とは,水面で魚や水産動物,貝など水界生物を採捕するレジャーである。遊漁の水面は,海面と河川・湖沼などの内水面に分かれる。遊漁の方法には,船釣り,磯釣り,突堤などでの陸(おか)釣りのほか,潮干狩り,地引網,簀(す)立てなど各種の観光漁業がある。海面遊漁人口は近年増加しているが,8割近くが釣りであり,潮干狩りが十数%を占める。遊漁船である釣船や渡し船(瀬渡し)には漁業者の漁船(漁業者の遊漁兼業)が多く,その所有漁船中約2割が遊漁客を乗せている,という水産庁の調査結果もある(〈漁家遊漁所得状況調査〉,1980)。一方,遊漁者が自分のボートで遊漁するケースも増えている。遊漁釣具の高性能化も,大手釣具メーカーの手で積極的に進められている。
これまで海面遊漁の場所・方法などに対する法の規制はほとんどなかった。海のレジャーは自由である。しかし遊漁が水界生物を採捕するレジャーであるかぎり,水界生物の採捕,販売を暮しの手段とする漁業者との間で,トラブルの発生は避けられない。また遊漁者自身の気ままさによる,磯釣遊漁者の遭難も増加している。漁業と海面遊漁とのトラブル防止については,漁業協同組合による自主的な遊漁の制限,漁業者団体と遊漁者団体との海面利用をめぐる話合いが各地にみられるが,十全の効果はあげていない。今後の海面遊漁問題では,漁業者による海面の生産的利用とレジャー的利用を,時期,場所,遊漁の方法等について,どのように調和させ,調整していくかが課題である。こうしたなかで,水産庁長官の私的諮問機関である漁場管理制度研究会が1983年〈沿岸漁民の生活を守るため,海釣りに規制の網をかぶせ,釣船を登録制などにしたり,入漁料をとれるようにする〉ことを骨子とする内容の報告書をまとめ,これを受けて沿岸漁場整備開発法(1974年5月公布)等の改正が同年6月行われ即日施行された。これにより,全国の都道府県で遊漁案内船の登録化と背番号制(密漁などの取締りの円滑化を目的にしている)が実施に移され,また有力漁場で〈遊漁制限水面(釣り禁止区域)〉と〈遊漁利用水面(いわば海の釣堀。利用料が必要)〉が指定された。前者は漁業者が水産資源の保護培養を図っている区域である。
執筆者:高橋 冨士夫
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漁業を職業としない一般人が、釣りなどで魚貝類を採捕して楽しむことをいう。「ゆうりょう」とも読む。漁業を職業とすることを職漁(しょくりょう)というのに対することば。この場合、遊漁者から入漁料や傭船(ようせん)料を徴収して営む事業を観光漁業という。
[吉原喜好]
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