九木浦(読み)くきうら

日本歴史地名大系 「九木浦」の解説

九木浦
くきうら

[現在地名]尾鷲市九鬼くき

九鬼湾のほぼ中央北岸にあり、日和ひより山より延びる三思さんしヶ丘の小岬が荒波を防ぎ湾内は良港となっている。九木浦と早田はいだ浦の中間にある比志加ひじかは、九木浦の古名といわれる。「神鳳鈔」に比志加御厨が記され、この辺りは最南端の伊勢神宮領であった。

中世、水軍を擁する九鬼氏が当浦に拠り、また有馬ありま(現熊野市)を中心に近隣に勢威を振るった有馬氏の代官有馬(のち九鬼)中務が居した。慶長六年(一六〇一)検地帳(徳川林政史蔵)九鬼村と記されている。江戸時代初期に尾鷲組に属する。寛文(一六六一―七三)の頃九木浦と改称。寛政五年(一七九三)の大差出帳(尾鷲組大庄屋文書)に家数九七、人数五二一、船数七六(鰹船一〇・さっぱ船四五・伝馬船二〇など)、網数三四網一三・細魚網六など)と記され、漁業が主であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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