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九鬼氏 くきうじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

九鬼氏
くきうじ

熊野八庄司の一つといわれ,紀伊国牟婁 (むろ) 郡九鬼に住して,ここを名字の地とした豪族。足利氏,北畠氏,織田氏,豊臣氏に仕え,朝鮮の役には船手をつとめ,鳥羽5万 6000石に封じられた。関ヶ原の戦い後も鳥羽3万石を領し,寛永8 (1631) 年摂津三田に移封され,明治にいたって子爵。分家が同 10年丹波綾部2万石に封じられ,この系統も明治にいたり子爵。

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世界大百科事典 第2版の解説

くきうじ【九鬼氏】

近世大名。元来は紀伊熊野地方の豪族。その祖は熊野別当長快とも,藤原隆信とも言う。紀伊九木浦を本拠とし,南北朝期には志摩国にもその勢力を及ぼし,戦国期,嘉隆は初め北畠氏,後に織田信長,豊臣秀吉に属して水軍の将として活躍,志摩国一円を支配した。子守隆は関ヶ原の戦で東軍につき加増,鳥羽に5万5000石を安堵された。子孫は摂津三田3万6000石と丹波綾部2万石に分かれ,幕末に至る。維新後ともに子爵。【加藤 真理子】

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知恵蔵miniの解説

九鬼氏

南北朝時代から明治時代にかけて活躍した一族。先祖は紀伊国熊野八庄司の一つで、紀伊国牟婁郡九木浦(現三重県尾鷲市九鬼町)を本拠地としたことから九鬼を名乗ったとされるが、出自には不明な点が多い。九鬼嘉隆(よしたか)が織田信長や豊臣秀吉など戦国大名の水軍の将として名を馳せ、朝鮮出兵でも功績を挙げて、志摩国鳥羽(現三重県鳥羽市)の大名となった。関ヶ原の戦いでは嘉隆・守隆(もりたか)親子が西と東に分かれて戦い、その後、徳川家康についた守隆が鳥羽城主となった。江戸時代に入って守隆が没すると家督争いが起こり、幕府によって摂津国三田藩(現兵庫県三田市)と丹波国綾部藩(現京都府綾部市)への領地替えを命じられ、二つの九鬼氏に分裂。両氏は明治に入ると子爵となり、華族に列した。

(2014-12-10)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

九鬼氏
くきうじ

南北朝~安土(あづち)桃山時代に、志摩(しま)・伊勢(いせ)を中心に水軍として活躍した豪族。先祖は紀伊(きい)熊野八庄司(くまのはちしょうじ)の一つ、出身地は九木浦(三重県尾鷲(おわせ)市九鬼町)とされる。当初は志摩国英虞(あご)郡波切(なきり)(三重県志摩市大王(だいおう)町波切)を拠点とし、さらに加茂(かも)郷田代(たしろ)城(三重県鳥羽(とば)市)に移って、伊勢にも勢力を伸ばした。1569年(永禄12)、当主嘉隆(よしたか)は、伊勢攻略に乗り出した織田信長の下に属し、以後1574年(天正2)の伊勢長島一向一揆(いっこういっき)の鎮圧、石山本願寺攻撃における1578年の木津川口での毛利(もうり)水軍との戦いなどで活躍、鳥羽城3万5000石の主となった。信長死後は豊臣秀吉(とよとみひでよし)に属して、四国・九州征討、朝鮮侵略などで功をあげた。関ヶ原の戦いでは、嘉隆は西軍に属し自害したが、子の守隆(もりたか)は東軍に属し、その功により2万石の加増を得た。その子の代に摂津三田(さんだ)(兵庫県三田市)3万6000石と丹波(たんば)綾部(あやべ)(京都府綾部市)2万石とに分封され、明治に至った。1884年(明治17)ともに子爵となった。[池 享]

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世界大百科事典内の九鬼氏の言及

【伊勢水軍】より

…また室町期には海関を設け,通航船から関銭を徴収するなどした。このころより,紀伊国牟婁郡九木浦に根拠を持つ九鬼氏が志摩方面に勢力を伸ばし,戦国期末には志摩一円を支配するに至る。これに伴い,和具氏らの小土豪はその傘下に入り,向井氏,小浜氏は伊勢地方を追われて甲斐武田氏と結び,後には船手として徳川氏の家臣団に編入されていった。…

【志摩国】より

…このほか68年(文永5),1324年(正中1)に国崎を襲った者の中に伊良湖,大吹島出身の者がおり,志摩半島を中心に広い範囲での海上活動がみられる。南北朝時代には南朝方として活躍した五箇所の愛洲(あいす)氏,古和浦の古和一族,相賀の木本一族,吉津の加藤氏があり,室町時代には泊浦,名切,答志を本拠地とした九鬼(くき)氏(泊氏),的矢の的屋氏,安楽島(あらしま)(鳥羽市)の安楽島氏,甲賀の甲賀氏,和具の和具(青山)氏,相差の相差氏などがいる。彼らは室町中期には,〈島衆〉として結束し,領主間の紛争調停や廻船,漁業の支配にあたっており,近世に〈島七党〉とよばれる伝承の母体となった。…

※「九鬼氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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